スマホCPU、史上初の5GHz台に 熱はどう逃がす? クアルコムが説明 - CNET Japan

スマートフォン向けCPUが「5GHz」の大台に乗った。クアルコムは9月22日(現地時間)、米ハワイ州マウイ島で開催中のイベントで、最上位SoC「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」を発表した。2nmプロセスで製造し、独自設計の「Oryon CPU」は最大5GHzで動作する。クアルコムによると、モバイルCPUとして5GHzに到達するのは初めてだ。

ゲームを長く続けると、スマートフォンが温かくなって動きが鈍ることがあります。そこへ2026年9月22日、クアルコムが「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」を発表しました。CPUのいちばん速いコアは最大5.0GHzに届きます。
速く回せば、出てくる熱も増えます。手のひらに収まる大きさで、その熱はどこから逃げるのでしょうか。

この記事の事実と数値はCNET Japanが2026年9月23日に報じた記事によります。コアの周波数はクアルコムが公開している製品ブリーフで確かめました。メモリを重ねたときの熱の問題はSK hynixの2025年8月の発表によります。

速く回せても、熱で速さが続かない

製品資料によると、2つのコアが最大5.0GHz、6つのコアが最大4.0GHzで動きます。モバイル向けのCPUが5GHzに届くのは初めてだと、同社は説明しました。

ただしスマートフォンには、PCのように大きな冷却装置を入れる場所がありません。熱がたまれば、チップは自分を守るために速さを落とします。だから最高速度の数字だけでは、速い状態がどれだけ続くかは決まらないのです。

メモリが、プロセッサの上でふたになっていた

スマートフォンの多くは、プロセッサの真上にDRAMを積み重ねています。この積み方をPoPと呼び、狭い場所を無駄なく使えるうえ、データのやりとりも速くなる形でした。

ところがこの形では、プロセッサで生まれた熱が上のDRAMの中にこもります。DRAMをつくるSK hynixは2025年8月、これがスマートフォンの性能を落とす原因になっていると説明しました。つまり真上のDRAMは、熱にとってふたのような位置にあったわけです。

チップを真上に重ねると熱がこもり、横にずらすと熱の逃げ道ができる
ふたを通しやすくするか、ふたをずらすか

このふたへの手の打ち方は、2通り出てきています。SK hynixは、DRAMを包む樹脂に熱を伝えやすい材料を混ぜました。熱の伝わりやすさは3.5倍になり、熱が縦に抜けるときの抵抗は47%下がったといいます。

これに対して新しいSnapdragonは、ふたそのものを動かしました。CNET Japanによると、発表会で示された構造図では、メモリがプロセッサの真上ではなく横へずらして置かれていました。名前はOffset PoPで、プロセッサから熱を逃がす道を空けるための配置です。

同社は、重い処理で最高性能を保てる時間が従来の2倍以上になるとしています。ただしこれは同社が示した値で、Offset PoPの説明も公開の製品資料にはまだ載っていません。下位のSnapdragon 8 Elite Gen 6も5GHzで動きますが、こちらはずらしていないそうです。

スマートフォンの断面。内部は部品で隙間なく埋まっている
まとめ
  • クアルコムの「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」は、CPUの2コアが最大5.0GHzで動く
  • スマートフォンは大きな冷却装置を入れられず、熱がたまると速さが落ちる
  • 多くのスマホはプロセッサの真上にDRAMを積むPoPで、その熱が上のDRAMにこもる
  • SK hynixはDRAMを包む樹脂を熱が通りやすいものに変え、縦方向の抵抗を47%下げた
  • クアルコムはOffset PoPでDRAMを横へずらし、熱の逃げ道を空けた(CNET Japanの報道。製品資料には未記載)
  • 最高性能を保てる時間が2倍以上というのは、クアルコムが示した値

5GHzの熱の行き先をふさいでいたのは、真上に積んだDRAMでした。ふたの材料を変えて熱を通すか、ふたを横へずらして道を空けるか。どちらも、速さを長く保つための手当てです。