売れるスイーツは? アイデア約1000品、ファミマが商品開発の案出しを「2週間→1日」にした方法
ファミリーマートは、AIが商品開発したスイーツを初めて販売する。ID-POS(顧客IDが紐づいた販売時点情報管理)データや、売上、客層などの情報をAIに読み込ませ、案出し。2027年2月までに10品近くを展開する予定で、AIをアイデア出しの土台として活用する狙いだ。
コンビニに並ぶ新しいスイーツは、誰がどうやって考えているのでしょうか。9月、ファミリーマートとローソンが、生成AIの案から作ったスイーツを相次いで売り出しました。
ファミリーマート(ファミマ)は芋とキャラメルのカヌレ、ローソンはピクルス風味のレモンタルトでした。案を出させる前に、2社はAIに渡すものを逆に決めています。片方は過去の販売データを読ませ、もう片方はあえて外しました。何を入れて、何を外したのでしょうか。
ファミリーマートの開発の中身と数値は、宣伝会議AdverTimesの取材記事(2026年9月22日)によります。ローソンの事実は同社の発表(2026年9月16日)で確かめました。2社の取り組みは日テレNEWS NNNも伝えています。
ファミマは、2年分のレジの記録と売れた要因を生成AIに入れた
宣伝会議AdverTimesの記事によると、ファミマが生成AIに渡した材料の多くは、自社の販売の記録でした。そのひとつが、顧客IDとひもづいた過去2年分のレジのデータ(ID-POS)です。ほかに渡したのは、次のものです。
- デザートの発注と売上
- 客層、時間帯、リピートの分析
- 過去の企画の実績
- 市場のトレンドをまとめたスイーツ白書
- グループの方針の資料
ファミマは7月にもAIの案から商品を出しており、今回はより細かな指示文(プロンプト)を組み込めたといいます。さらに、過去によく売れた商品の要因も入力しました。片手で食べられることや、1つの品の中で食感が変わることなどです。そしてテーマと作る上での制約も加えると、生成AIは約1,000の案を返しました。
担当者は約1,000案から、プリンやダブルシュー、カヌレなど数案に絞っています。AIは試作品のイメージを伝えるイラストも描きました。
カヌレの形に芋とキャラメルを合わせる案も、AIの返答に入っていました。また、AIは値段にも意見を返しています。過去の実績では300円を超えると試しに買う人の割合が下がる傾向があり、ファミマは285円にしました。

ローソンは、アイデア出しの段階で販売実績と市場データを外した
一方、ローソンは逆の手を取りました。発表によると、生成AIで案を出す段階では、過去の販売実績や市場のデータを使っていません。理由は「既存の発想や市場動向にとらわれないアイデアを引き出すため」と説明しています。
ローソンが案出しに渡したのは、次のようなテーマでした。今までにない組み合わせや味で、商品や商品名を見た瞬間に「なんだこりゃ?」と思わせ、しかも食べればおいしいこと。そこから出てきたのが「レモンタルトとピクルスの組み合わせ」でした。
発表が販売データを使わなかったとしているのは、アイデアを出す段階です。今後は生成AIの案から作った今回の商品の売れ行きや反響を踏まえ、販売実績や市場データも使うとしています。そしてAIによる商品開発の可能性を広げる考えです。
| ファミリーマート | ローソン | |
|---|---|---|
| 販売データ | 過去2年分を入れた | アイデア出しでは使わない |
| 市場の資料 | スイーツ白書を入れた | アイデア出しでは使わない |
| ほかに入れたもの | 売れた商品の要因、テーマ、制約 | テーマ(今までにない組み合わせ、おいしさなど) |
| 生まれた品 | おいものカヌレ | レモンタルト(ピクルス風味) |
AIの案を品に仕上げたのは、どちらも担当者だった
案をそのまま品にしたわけではありません。ファミマの生成AIは、中からキャラメルソースが出る作りを提案しました。しかし工場の設備と技術ではその通りに作るのは難しく、担当者の判断でソースを上からかける形に変えています。
ローソンも、担当者が試作と検証を重ねました。ピクルスとレモンという複数の酸味の釣り合いを何度も調整し、チーズのコクを合わせています。見た目はレモンタルトらしく見えるよう工夫したそうです。

まとめ
- ファミマとローソンが9月、生成AIの案から作ったスイーツを売り出した
- ファミマは過去2年分の販売データや市場の資料、売れた商品の要因を入力し、約1,000案を得た
- ローソンはアイデア出しの段階で販売実績と市場データを使わず、意外な組み合わせをテーマにした
- ファミマはカヌレ、ローソンはピクルス風味のレモンタルトになった
- どちらも最後は担当者が試作し、作れる形や味の釣り合いを整えた
- ローソンは今回の売れ行きや反響を踏まえ、今後は販売実績や市場データも使うとしている
2社は、生成AIに入れるものと外すものを逆に設計しました。ファミマは販売の記録と売れた要因を入れて、約1,000案を出させました。その結果、多くの案から絞り込めるので売れる確信が高まり、新しい切り口を見つける機会にもなったといいます。ローソンは既存の発想にとらわれない案を引き出すため、アイデアを出す段階で販売実績と市場データを外しました。

