Brain-computer interface study sheds light on neural activity during observation, or 'mirror neurons' | Brown University

A study provides new details about how the brain’s motor cortex reacts when people watch actions by agents that may appear more human, or less.

だれかがボールを握る動画を見ているとき、自分の手は動いていません。それでも、手を動かすときに働く脳の場所は、見ているだけで反応することが知られています。
では、画面の中で握っているのが人の手ではなく、ロボットの手だったらどうでしょうか。米ブラウン大学などのチームが、脳に計測装置を入れた2人の協力を得て、1個ずつの細胞の反応を記録しました。結果は、手の見た目と、自分で握ろうとするかどうかで変わりました。

この記事の事実はブラウン大学が2026年9月23日に出した発表によります。論文はPNASに載りましたが、本文の数値は同じ研究のプレプリントから取りました。

BrainGateの参加者2人は、運動野に小さな電極の板を入れている

研究に参加したのは、首の脊髄のけがで手足が動かない人と、ALS(筋萎縮性側索硬化症)が進んだ人の2人です。どちらも臨床試験「BrainGate」の参加者で、脳の運動野に小さな電極の板が入っています。電極を入れたのは、運動の準備にかかわる運動前野を含む領域です。

電極は脳の中に入り込む細い針で、すぐそばの神経細胞の発火を1個ずつ記録できます。1人目は記録に使う電極が96本の板を2枚、2人目は64本の板を6枚入れています。本来の目的は、手を動かそうと考えたときの信号で、ロボットアームなどを動かすことです。

ガラスの脳の模型の上に浮かぶ、細い針が格子状に並んだ小さな電極チップ
人の手、ロボットハンド、3本爪、立方体の握る動画を見せた

実験では、動画の中で4つの「握るもの」が握る動作をします。人の手、人の手に似せたロボットハンド、3本爪のロボット、立方体です。また、比べるために何も映らない画面も用意しました。

条件は2つです。一つは、参加者が動画を見ているだけで、自分では何もしない条件です。このとき運動野の神経細胞がどれだけ活発になるかを、見ていたものごとに比べました。

見ているだけでも、運動野は人間らしい手ほど強く発火した

論文のプレプリントでは、1人目の手の領域に入れた電極で、発火の増え方が次のようになりました。この課題の結果は、主にこの1人のものです。人の手とロボットハンドが15.6%で並び、3本爪は7.0%、立方体は2.7%でした。一方、何も映らない画面では1.9%です。

見ていたもの1人目・手の領域の発火の増え方(見ているだけ)
人の手15.6%
人型のロボットハンド15.6%
3本爪のロボット7.0%
立方体2.7%
何も映らない画面(握りの合図あり)1.9%

増え方の基準は、同じく何も映らない画面で「力を抜く」の合図を聞いたときの発火です。さらに、点の集まりで手を描き、手らしさを少しずつ崩していく実験では、2人とも同じ向きの結果が出ました。人間らしさが下がるほど発火は小さくなり、人間らしくないほうがはっきりした差で大きく反応した組み合わせはありませんでした。

しかもこの差は、運動野の神経細胞の集団でも、1個ずつの細胞でも見られました。見るときにも動かすときにも反応する細胞は、「ミラーニューロン」と呼ばれてきました。筆頭著者のガスマン氏は、今回の反応は専用の細胞が担うのではなく、細胞のネットワークとしての効果だとみています。

左から人の手、人型のロボットハンド、3本爪のロボット、立方体が並び、左の2つが同じ強さで光り、右へいくほど暗くなる様子
自分で握ろうとすると、見た目による発火の差は統計で区別できなくなった

もう一つは、同じ動画を見ながら、参加者自身も同じ握りを試みる条件です。すると4つの握るものと何も映らない画面のあいだで、運動野の発火に意味のある差が出なくなりました。

握ろうとしたときの運動野の活動の変化は、見ているだけのときより大きなものでした。プレプリントは、その大きな信号が、見ているときに出ていた見た目による差を覆い隠した可能性がある、と考察しています。

ただし今回は、画面の手を脳で動かしたのではなく、決まった動画を見ながら握ろうとした実験です。実際に操作する場面での影響は、プレプリントも今後の課題としています。また2人目は、この課題の見るだけの条件ではっきりした変化が出ませんでした。プレプリントは、当時の視力の低下が影響した可能性を挙げています。

まとめ
  • 脳に電極を入れた2人の運動野で、神経細胞の発火を1個ずつ記録した
  • 見ているだけのとき、1人目の発火の増え方は人の手とロボットハンドが15.6%、3本爪7.0%、立方体2.7%
  • 点の集まりの手でも、人間らしさが下がるほど発火が小さくなった
  • 運動野の差は細胞の集団でも1個ずつの細胞でも見られ、研究者は専用の細胞ではなくネットワークの効果とみる
  • 自分で握ろうとしながら見ると、見た目のあいだで統計で区別できる発火の差が出なかった
  • 脳で実際に機器を操作する場面での影響は、今後の課題とされている

見た目による差は、反応する細胞が減るためだとプレプリントは示唆しています。1個ずつの細胞の発火の強さの違いも加わった可能性がある、という見方です。