静かで薄い!使用中に熱を帯びてくるパソコンを、どうやって冷やすか? 水冷システムを搭載するモデルもあるものの、一般的なのは冷却ファンを備える構造でしょう。ファンが回る音の大きさや、そもそも厚みが出てしまう設計を受け入れるほかありません。でも
レノボが「AeroBlade」という試作のノートパソコンを、ドイツで開かれた見本市IFA 2026で見せました。厚さは1cm、重さは約830gしかありません。
薄さの理由は冷却にあり、この機械には回るファンが入っていません。使われているのは、アメリカのFrore Systemsが作る「AirJet」という部品です。羽根が回らないのに、どうやって冷やしているのでしょうか。
この記事の仕様と表現はFrore Systemsの公開資料によります。
なぜ、これまで薄くできなかったのか
パソコンの中では計算をする回路が熱を出し、こもると性能が落ちるため外へ逃がす必要があります。その冷却の役目を長く担ってきたのが、羽根の回るファンでした。
ところが、この方法には条件が付きます。Frore Systemsは従来のファンを「場所と大きな通気口と動く部品を必要とする」と書いています。そして最も薄い機器では使えなくなると続けました。
つまり、厚みの下限を決めていたのは計算する回路ではありません。空気を動かす仕組みのほうだったのです。
固体素子で冷却するという発想
AirJetは、羽根を持たない冷却のしかけです。Frore Systemsはこれを「世界初の固体素子による能動冷却チップ」と呼んでいます。
能動というのは、自分から空気を動かすという意味です。金属の板で熱を広げるだけの受け身な方法とは区別されます。動くところを持たないまま能動的に冷却する点が、AirJetの核です。
ただし公開資料が示しているのは、「固体素子による能動冷却」という説明までです。内部で何が空気を動かしているのかは明かされていません。

羽根が無いと、何が変わるのか
- AirJet Mini G2は7.5Wの熱を取り除く
- 無音で、薄く、軽い
- 防塵・防水
- 振動がない
防塵と防水が並ぶ理由は、穴の作り方にありました。従来の方式は大きな通気口と通り道を必要とします。そこからほこりや水が入るため、密閉したい機器では使いにくくなるのです。
だから同社は、ファンが「そもそも生き残れない」設計の中でもAirJetは静かに動くとしています。薄いもの、静かなもの、頑丈さが要るものが例に挙げられました。
AeroBladeは、まだ製品ではない
ここは間違えてはいけません。AeroBladeは見本市で示されたコンセプトであって、買える製品として発表されたわけではありません。
| 項目 | 公表されている内容 |
|---|---|
| 位置づけ | コンセプトの試作機(IFA 2026で展示) |
| 厚さ | 1cm |
| 重さ | 約830g |
| 冷却方式 | AirJetを使う「Lenovo Active Flow」 |
| 発売時期・価格 | 公表なし |
それでも意味はあります。AirJetは2025年8月から量産に入っている実在のチップです。しかも20を超えるブランドが採用を進めていると、Frore Systemsは記しました。
まとめ
- レノボがIFA 2026で、厚さ1cm・約830gのノートPC「AeroBlade」を展示した
- 中身の冷却を担うのは、羽根を持たないFrore Systemsの「AirJet」
- 従来のファンは場所と大きな通気口と動く部品を必要とし、薄い機器に入らない
- AirJet Mini G2は7.5Wの熱を除去し、無音・防塵・防水・無振動という性質が挙げられている
- AeroBladeはコンセプトであり、発売時期も価格も公表されていない
ノートPCの厚さを下から押さえていたのは、回転する送風の部品と、そのための空間と通気口でした。AeroBladeは羽根のないAirJetに冷却を任せ、7.5Wの熱を除きながら厚さ1cmの試作機になっています。

