2024年に形成された直径約222mの新しいクレーターを月で発見 衝突の痕跡は100km以上先まで
NASAの月周回衛星「LRO」が、月面に新たに形成された直径約222mの「McGetchinクレーター」を発見。2024年春の衝突で生まれたこのクレーターは、新たな形成が確認された太陽系最大の衝突クレーターです。衝突による変化は100km以上先にも及んでいます
月のクレーターは、何十億年も前にできたものだと思われがちです。ところが2026年9月、2024年にできたばかりのものが見つかりました。直径は約222mで、名前は「McGetchin」です。新しくできたと確かめられたクレーターとしては、太陽系で最大でした。
しかも発表には、できた時期が「4月11日から5月22日のあいだ」と書かれています。誰も衝突の瞬間を見ていないのに、なぜ1か月半まで絞れるのでしょうか。
この記事の事実と数値はsoraeが2026年9月23日に報じた記事によります。一次はNASAが2026年9月16日に公開した発表です。
毎月、月ぜんぶを撮っている
NASAの月周回衛星LROに載っている広角カメラは、2010年から毎月、月全体を撮り続けてきました。この頻度が、そのまま日付を絞る力になりました。
そして数年おきに、その画像から全球の地図を作り、古い版と見比べます。LROは17年以上月を回っていて、これまでに少なくとも1,000個の新しいクレーターが見つかっています。
今回の発見も、その定期的な照合の途中でした。LROCチームのRobert Wagner氏が2025年10月24日、画面上の地図に明るい斑点を見つけます。そしてその斑点は、暗い部分に囲まれていました。
変わらないものは、灰色になる
クレーターを探す作業には、変化を強調するソフトが使われました。NASAの説明によると、同じままのものは灰色になり、違うところだけが明るいか暗いパッチとして浮かぶしくみです。
だから探しているのはクレーターの形ではなく、2枚のあいだの差でした。そしてWagner氏が比べたのは、2011年春と2025年夏の画像です。

日付を挟んだのは、撮影と撮影のあいだ
ここで最初の疑問がほどけます。クレーターができた時期は、衝突を見て決めたものではありません。写っていない画像の日と、写っている画像の日で挟んだ幅です。
毎月撮っているからこそ、このクレーターの幅は1か月半まで縮まりました。撮影が数年に1回なら、答えは「2011年から2025年のあいだ」で止まっていたはずです。
明るい斑点は、クレーターではない
見つかった明るい斑点そのものは、穴ではありませんでした。衝突で飛び散った物質が、放射状に広がって明るく見えたものです。
クレーターの形がはっきり分かったのは、そのあとでした。広角カメラの1ピクセルは、アメフトのフィールドほどの大きさがあります。そこでチームは約3フィート/ピクセルの狭角カメラで撮り直しました。
| 調べたこと | 分かった値 |
|---|---|
| 直径 | 約222m |
| 深さ | 約43m |
| ぶつかったもの | 3〜6階建てのビルほどの小惑星か彗星の破片 |
| 月でのこれまでの記録 | 直径約70m |
| 同規模の衝突の起こりやすさ | 約132年に1回(生成モデルによる見積もり) |
夜だけ9℃低い場所ができた
LROには熱を測る装置も載っています。追加の観測で、クレーターのまわり約6.4kmの範囲が、夜間に約9℃まわりより低いことが分かりました。
研究チームはその理由を、衝突でレゴリスがふかふかになり、密度が下がって熱を保てなくなったためと説明しています。
光の返り方の変化は、もっと遠くまで届いていました。約15km以内では地面がわずかに明るくなり、その外側では100km以上先まで、ところどころわずかに暗くなっています。差は1%ほどでも、範囲は穴の半径の1,000倍を超えました。
研究チームの解釈では、ぶつかった直後に、地面をかすめるほど低い角度で速い破片が飛び散ったためです。しかも低く飛ぶ破片なら越えられないはずの尾根の向こうにも、跡が残っていました。論文は、飛び散り方を計算するモデルを見直す手がかりになると述べています。

まとめ
- 月で2024年4月11日〜5月22日にできた直径約222m・深さ約43mのクレーター「McGetchin」が見つかった
- 見つけ方は、広角カメラが2010年から毎月撮ってきた月全体の画像を、古い版と見比べること
- 変化を強調するソフトでは同じままのものが灰色になり、違うところだけが明暗のパッチとして浮かぶ
- できた時期は衝突を見て決めたのではなく、写っていない画像の日と写っている画像の日で挟んだ幅
- 最初に見えた明るい斑点は穴ではなく、飛び散った物質。穴の形は約3フィート/ピクセルの狭角カメラで確認した
- まわり約6.4kmが夜間に約9℃低い。レゴリスがふかふかになって熱を保てなくなったためと説明されている
このクレーターの日付は、その瞬間を見て決めたものではありませんでした。写っていない画像と写っている画像の撮影日で挟んだ幅で、毎月撮っていたから1か月半まで縮まっています。


