
熱とファインセラミックス-熱伝導率(ねつでんどうりつ) | ファインセラミックスの特性 | ファインセラミックス ワールド | 京セラ
熱とファインセラミックス:「熱伝導率」について説明しています。
パソコンやスマートフォンの中の半導体は、動くと熱を出します。熱がこもると困るので、熱を外へ逃がす材料が要ります。
反対に高温の炉では、中の熱を外へ漏らしたくありません。逃がしたい場面とさえぎりたい場面では、欲しい性質が正反対です。
それでも、どちらの材料も熱伝導率という1つの数で比べられます。この数は何を表していて、なぜ材料によって大きく違うのでしょうか。
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熱伝導率は、物の中での熱の伝わりやすさ
金属の棒の片方の端を火であぶると、しばらくして反対の端まで熱くなります。これは熱が棒の中を伝わっていくためで、小学校の理科の実験でも確かめます。
ただし熱の伝わりやすさは物によって違い、その度合いを表す数が熱伝導率です。
熱伝導率が大きい物ほど熱をよく通し、小さい物ほど熱をさえぎります。つまり高ければ良い数ではなく、熱を逃がしたいのか閉じ込めたいのかで、欲しい側が変わるのです。
なお値にはW/(m·K)という単位が付きますが、この記事では数の大小だけを比べます。
ファインセラミックスは、作り方を細かく管理した焼き物
この記事では、京セラが公開している解説と数値をもとに、ファインセラミックスという焼き物の仲間を比べます。もともとセラミックスという言葉は粘土を焼き固めた物を指し、茶わんや皿のような陶磁器がその代表でした。
これに対してファインセラミックスは、選び抜いた原料の粉や合成した粉を使い、成分を細かく整えて作ります。さらに作る工程も十分に管理するので、京セラは粘土などの自然の原料から作る一般の陶磁器と区別しています。
同じファインセラミックスでも、熱伝導率は50倍違う
では実際に、京セラが載せている20℃での熱伝導率から、4つの素材を選んで表にしました。
| 素材 | 熱伝導率(20℃) | 京セラが挙げる特徴や使い道 |
|---|---|---|
| 炭化ケイ素 | 200 | 特に熱をよく通す |
| 窒化アルミニウム | 150 | 半導体部品のパッケージ(部品を収めて守る外側) |
| アルミナ | 29 | 電気を通しにくく丈夫で、広く使われる |
| ジルコニア | 3 | 高温になる炉の壁 |
たとえば窒化アルミニウムの150とジルコニアの3では、およそ50倍の差があります。しかも京セラによると、ジルコニアの熱伝導率は、身近な金属であるステンレス鋼の10分の1しかありません。
そこで熱がこもると困る半導体のまわりには窒化アルミニウムが、熱を閉じ込めたい炉の壁にはジルコニアが使われます。

熱を運ぶ道は、電子の移動と原子の揺れの2つ
では、なぜ同じ焼き物の仲間で、ここまで値が開くのでしょうか。京セラは熱を運ぶ道を2つ挙げていて、1つは電子の移動、もう1つは格子振動の伝わりです。
このうち電子の道で熱をよく運ぶ代表は、電気を通しやすい金属です。ところが窒化アルミニウムは、電気をほとんど通さないのに熱はよく通すと京セラは紹介しています。
つまり電気を通さない物でも、もう1つの道を通って熱は伝わるということです。
結晶の中では原子が格子のように規則正しく並んでおり、それぞれが小さく揺れています。その揺れが隣へ次々と伝わっていく、並び全体の揺れが格子振動です。
たとえるなら、ばねでつないだ玉の列の端をゆらすと、揺れが列の先まで届くようなものです。ただし実際の原子どうしは、ばねでつながっているわけではありません。
結びつきの強い結晶ほど、熱伝導率が高い
京セラによると、格子振動がよく伝わる物ほど熱伝導率は高く、その例が共有結合の結晶です。共有結合とは、原子が電子を出し合ってつながる結びつき方で、高校の化学で習います。
実際、常温でいちばん熱伝導率が高い物質はダイヤモンドで、表で1位の炭化ケイ素と同じく共有結合の結晶です。
同じ素材でも、中のすき間で熱伝導率は変わる
ただし素材の名前だけで値が決まるわけではなく、ファインセラミックスでは中の小さなすき間も値に影響します。さらに、焼き固めた細かな粒どうしの境目や、まじっている不純物も、値を左右する要因です。
そこで京セラは、すき間や境目、不純物を作り方で抑え、熱をよく通すようにした素材もあると書いています。作り方を細かく管理するファインセラミックスだからこそ、こうした工夫で値を高められるわけです。

まとめ
- 熱伝導率は、物の中での熱の伝わりやすさを表す数。高いほど良い数ではない
- 同じファインセラミックスでも、窒化アルミニウム150とジルコニア3でおよそ50倍違う
- 熱を逃がしたい半導体部品には値の高い素材、熱を閉じ込めたい炉の壁には値の低い素材を使う
- 熱を運ぶ道は、電子の移動と格子振動の2つ
- 共有結合の結晶のように結びつきが強いと値が高い。常温の1位はダイヤモンド
- 中のすき間や境目、不純物でも値は変わる
窒化アルミニウムは150という高い値で、電気を通さないのに熱をよく通します。金属でない結晶でも、格子振動がよく伝われば熱は通るのです。
反対にジルコニアは3にとどまり、同じ焼き物の仲間でも熱をさえぎる側の端にいます。
この記事の説明は、京セラの熱伝導率の解説とファインセラミックスの解説によります。材料ごとの値は、京セラの法人向けの特性ページに載っている20℃での値です。



