太陽光で充電する「光蓄電池」の新設計を確立 ―従来... | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
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スマートフォンは、毎日のように充電器につないで充電します。窓辺に置いておくだけで電池が満タンになるなら、コンセントを探さなくて済みそうです。
東北大学と英国のケンブリッジ大学のチームは、発電と蓄電を1つにまとめた光蓄電池の新しい作り方を発表しました。
これまでと同じように材料を混ぜて作ると、光で生まれる電圧は約0.01Vにとどまりました。混ぜずに層に分けて重ねたところ、約1Vまで上がっています。
では、太陽電池と電池を1つにまとめれば、充電器はいらなくなるのでしょうか。
光で電気を作る部品とためる部品は別々

光蓄電池って、太陽電池と電池がくっついたもの?

そうよ。ふつうは、この2つを別々に用意して、配線やほかの部品でつないでいるの。

太陽電池は光が当たると発電するけど、光の当たらない夜には何も作れないわ。だから昼に作った分を蓄電池にためておいて、要るときに取り出しているのよ。

光蓄電池は、そこが違うんだね。

光蓄電池は、発電と蓄電を1つの電池の中でこなすの。間をつなぐ部品や配線を減らせるから、小さく安く作れると期待されているわ。

どんなものに使うの?

ねらいは、インターネットにつながる小さなセンサーや、身につける機器よ。外から電源をつながなくても動き続ける装置を目指しているの。
光蓄電池の壁は光だけで出せる電圧が足りないこと

光が当たれば電気ができるなら、そのまま電池にためればよくない?

それが難しいのよね。電池にためるには、外から電気を押し込む力が要るの。その力の大きさが電圧で、単位はV(ボルト)よ。
光蓄電池では、光が当たって生まれる電圧(光電圧)で、この押し込みをまかなうの。

その光電圧が足りないってこと?

そうなの。外から電圧をかけずに充電できるだけの光電圧を得ることが、大きな壁になっているのよ。

これまでの多くの光蓄電池は、光を吸う材料とためる材料を混ぜて電極を作っていたの。電極っていうのは、電池のプラス極やマイナス極にあたる部分ね。
その光電圧は、理屈の上で出せる上限の約1〜2Vを大きく下回っていたわ。
光で生まれた電子と穴は出会うと消えて熱になる

混ぜて作ると、どうして光電圧が低くなるの?

光が当たると、物質の中で電子が動けるようになって、もとの場所には穴が残るの。この2つを別々の出口へ運べば、電流として取り出せるわ。

途中で出会っちゃったら?

2つはペアで消えてしまうの。光から受け取ったエネルギーは電気にならずに、熱として逃げていくのよ。

混ぜて作った電極は、出口の決まっていない混み合った部屋みたいなものね。2つがすぐ近くでぶつかり合って、外へ出る前に消えてしまうの。

消えないようにはできないの?

層に分けた電極が、それを減らす方法なの。電子用と穴用の一方通行の通路を、別々に作るようなものよ。

ただ、実際の2つは人みたいに歩くわけじゃなくて、物質の性質で決まる向きに流れるの。だから、たとえは目安ね。

積層型の電極は光電圧が約1Vに達した

チームは水を使う亜鉛電池をもとに、並べ方の違う3種類の光蓄電池の電極を作ったの。
1つ目は、これまでと同じように混ぜて作った「混合型」よ。電子と穴が出会って消えることが多くて、光電圧は約0.01Vにとどまり、入った光のエネルギーの大部分が熱に変わったわ。

2つ目は、どう作ったの?

「二機能型」といって、1種類の薄い膜に、光を吸う役とためる役の両方を持たせているの。膜の中のしくみが電子と穴を動かして、光電圧は約0.1Vに上がったわ。

3つ目が、層に分けた作り方だね。

ええ、「積層型」よ。ある種類の太陽電池の層の重ね方をまねたの。

光を吸う層の片側に電子だけを運ぶ層を、反対側に穴だけを運ぶ層を置いているの。さらに、穴を運ぶ層の先に、ためる層を重ねたのよ。

層に分けて、どうなったの?

積層型では電子と穴の通り道が分かれて、出会って消える分と熱の損失が抑えられたの。太陽の光をまねた光を当てると、光電圧は約1Vに達したわ。

並べ方を変えるだけで、そんなに変わるの?

並べ方の違いは大きな要因だけど、3種類は使った材料も違うの。だから、差のすべてが並べ方だけで生まれたわけじゃないわ。

今回の充電は外部電源の電圧に光電圧を上乗せする方式

約1V出たなら、光だけで充電できたの?

そこは違うの。今回は外部の電源で電圧を一定に保って、そこへ光が生む光電圧を上乗せしてためたのよ。光の力だけでためきったわけじゃないわ。

発表資料が示した結果は、この方式でためることと、暗い所で電気を取り出す放電までよ。
約1Vの光電圧だけで充電しきれるかどうかは、今回の発表には含まれていないの。

最初の疑問に戻ると、これで充電器はいらなくなるの?

今回の成果で充電器がいらなくなるわけじゃないわ。それでも東北大学は、層に分けて電子と穴の通り道を決めることが、光電圧の損失を抑える大きな役割を果たすと結論づけたの。
今後は、光を電力に変える効率と、長く使っても性能が落ちない耐久性を高めていくとしているわ。
まとめ
- 光蓄電池は、太陽電池の発電と蓄電池の蓄電を1つの電池の中でこなす
- 光で生まれた電子と穴が出会うと消えて熱になり、光電圧が下がる
- 混ぜた電極は約0.01V、層に分けて重ねた電極は約1Vの光電圧を出した
- 今回の試験は外部電源の電圧に光電圧を上乗せする方式で、光だけでためたわけではない
積層型の光蓄電池は、光を吸う層の両側に電子と穴それぞれの通り道を置き、2つが出会う前に引き離します。この作りが約1Vを生み、通り道のない混ぜた電極では、光から受け取ったエネルギーの大部分が熱に変わっていました。
この記事の内容と数字は、東北大学が2026年10月14日に出した発表資料によります。共同研究の論文(Nano Letters、2026年10月13日オンライン掲載)は要旨を参照しました。


