【技術のことば】pH
pHをはかる[1] pHって何? | はかる場

酸性とアルカリ性を判別する時に用いられる数値、pH(ピーエッチ)。多くの人にとってpHの認識はこのようなものなのでは? 研究や仕事でpHを「はかる」ことでもなければ、pHがどのよ…

洗剤のラベルにも、プールの水質の話にもpHが出てきます。0から14までの目盛りで、真ん中の7が中性だと学校で習いました。
では、pH7やpH3という数は、いったい何を数えているのでしょうか。そして値が1違うと、液の性質はどれくらい違うのでしょうか。先に答えを言うと、1違うだけで水素イオンの量が10倍違うのです。

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そもそも水の中には、電気を帯びた小さな粒がある

水の中には、ほんのわずかですが、電気を帯びた小さな粒がまじっています。その1つが水素イオンで、もう1つが水酸化物イオンです。

水素イオンが多い液は酸性で、水酸化物イオンが多い液はアルカリ性です。つまり酸性やアルカリ性の強さは、この2つの粒の量の多い少ないで決まります。

pHの日本語名は水素イオン指数で、Hは水素を、pは「パワー」を表しています。パワーは数学で「何乗」を表すことばで、日本語でいう指数のことです。名前のとおり、pHは水素イオンの量を表すための物差しなのです。

pHの値は、水素イオンの量の「けた」を数えている

では、1リットルの液に水素イオンはどれだけ入っているのでしょうか。粒はとても小さいので、化学ではモルという単位を使ってまとめて数えます。

たとえるなら、鉛筆12本を1ダースと数えるように、ものすごい数の粒をひとまとめにする単位です。ただし、ひとまとめの中身が何個なのかは、この記事では覚えなくてかまいません。

pH1リットルの中の水素イオン1があるけた
20.01モル小数点から2けた目
40.0001モル小数点から4けた目
70.0000001モル小数点から7けた目

たとえば0.0001は、0.1を4回掛けた数です。高校の数学では、0.0001を10のマイナス4乗と書き、右上に小さく書く数(マイナス4)を指数と呼びます。

pHの値は、この指数からマイナスを取った数です。表の右の列と見比べると、その数は1が小数点から何けた目にあるかとちょうど同じだと分かります。つまりpの「指数」とは、このけたの位置のことでした。

pHが1違うと、水素イオンの量は10倍違う

では、pH4とpH2の違いは、数字のとおり2倍なのでしょうか。表で比べると0.0001と0.01で、1が2けた左へずれているので、実際は100倍の違いです。

小数では、1が1けた右へずれるたびに量は10分の1に減っていきます。pHが1上がるのは、1が1けた右へずれることと同じです。だからpHの値が1上がると水素イオンは10分の1に、1下がると10倍に増えます。同じように数えると、pH4とpH7は3けたの差なので1,000倍の違いです。

また値が小さいほど酸性が強いのも、同じ理由で説明できます。pHが小さいほど1が小数点の近くにあり、それだけ水素イオンが多いからです。

7が中性なのは、2種類の粒が同じ量になるから

水の中の2つの粒には、決まった関係があります。水素イオンが増えるほど水酸化物イオンは減り、温度が同じならどんな水溶液でもこの関係は変わりません。

そして両方がちょうど0.0000001モルで同じ量になるのがpH7で、これが中性です。7より小さいと水素イオンが多い酸性、7より大きいと水酸化物イオンが多いアルカリ性と呼びます。表を上へ伸ばすと、pH0は1が小数点の手前に来る量、つまり1リットルに水素イオンが1モルある状態です。反対の端のpH14では、水酸化物イオンのほうが1モルになります。ふだんは、この0から14の範囲で表します。

14に区切られた横長の帯。左端と右端だけが光り、あいだの広い範囲は暗いまま
リトマス試験紙は、pH5から8のあいだを見分けられない

pHを調べる道具でおなじみのリトマス試験紙は、あくまで大まかな判定のための道具です。酸性では青い紙が赤に、アルカリ性では赤い紙が青に変わります。ところが色が変わるのは、pHが5程度より低いか8程度より高いときだけで、真ん中の広い範囲は見分けられません。

そのため細かく知りたいときは、14段階で色が変わる万能試験紙などを使います。つまり、リトマス試験紙で色が変わらなかった液が中性だとは限らないということです。

スポーツ飲料と水道水では、水素イオンが1,000倍ほど違う

身近な液でも比べてみましょう。水道水のpHはおよそ6.5で、スポーツ飲料は3.0から4.0の酸性です。6.5のように小数がつくpHは、6けた目と7けた目のあいだにあたる量を表します。pHの差がおよそ3なので、スポーツ飲料のほうが水素イオンは1,000倍ほど多い計算です。

水やお茶は中性に近く、細菌が増えやすいので傷みやすいといわれます。これに対してスポーツ飲料は酸性なので雑菌が増えにくく、常温でも傷みにくいのです。ただし酸性が強い飲みものは、歯を溶かしやすいことも知られています。

アジサイの花の色は、土のpHと関係している

pHは液だけでなく、土の性質を表すのにも使われます。たとえばアジサイの花は、酸性の土では青が強く、酸性が弱くなるにつれて赤みを帯びるのです。リトマス試験紙では酸性が赤だったので、アジサイとは赤と青の関係がちょうど逆になっています。

青いアジサイとピンクのアジサイが並び、それぞれの足元に土が見えている
まとめ
  • pHは水素イオン指数。pは指数、Hは水素を表す
  • pHの値は、1リットルの中の水素イオンの量を小数で書いたとき、1が何けた目にあるか
  • だから値が1違うと、水素イオンの量は10倍違う
  • 値が小さいほど水素イオンが多く、酸性が強い
  • 2種類の粒が同じ量になる7が中性
  • リトマス試験紙が見分けられるのは両端だけ。真ん中は万能試験紙などで調べる

pHのpが指数を表すのは、その値が水素イオンの量のけたそのものだからでした。したがって目盛りが1つ動くたびに、水素イオンの量は10倍ずつ変わります。洗剤や飲みもののラベルにあるpHも、数字が3違えば水素イオンの量は1,000倍違うと読めるのです。

この記事の事実と数値は、計測機器メーカーHORIBAの解説サイト「はかる場」に掲載された解説と、その後編によります。