藻類が「いつ、どれだけCO₂を吸収したか」を正確に捉える計測技術を確立 ~培養条件の最適化を通じ、CO₂吸収量向上とバイオマス生産効率化へ~ | ニュースリリース | NTT
発表のポイント: ◆微細藻類(※1)培養中の溶存無機炭素(DIC)(※2)濃度を、センサを用いて簡便かつ高精度に算出する計測技術を確立しました。 ...
NTTが2026年9月15日、藻がCO2をいつ、どれだけ吸ったのかを正確に捉える計測技術を確立したと発表しました。従来の計算をそのまま当てると、誤差は最大で約3,300%に達しました。
吸わせる技術ではなく、数える技術の話でした。
この記事の事実と数値はNTTが2026年9月15日に公開した発表によります。
水に溶けたCO2は、ひとつの形ではない
小さな藻は、光合成でCO2などの炭素を取り込んで増えます。その藻から採れるものを、飼料や燃料、化学品の原料にしようという研究です。だからCO2を減らす話と、ものをつくる話がつながっています。
ところが液の中で、CO2はひとつの形では存在しません。
水に溶けた状態のほか、重炭酸イオンや炭酸イオンといった姿にも変わります。これらをまとめて溶存無機炭素、略してDICと呼びます。だから藻がどれだけ吸ったかを知るには、DIC全体の動きを追う必要がありました。
これまでは、採ってこないと測れなかった
DICを正確に測る方法として、滴定法があります。ただしこの方法は、測るたびに培養液を汲み出さなければなりません。手間も時間もかかるので、連続して見続けることには向いていませんでした。
そこで使われるのがセンサです。ところが既存の方法を藻の液にそのまま当てると、滴定法と比べた相対誤差が最大約3,300%に達しました。測っているつもりの数字が、まるで合っていなかったわけです。

誤差の正体は、pHの上がり方だった
原因を調べると、培養が進むにつれて培養液のpHが約8.4から約10.0へ上がっていました。藻が光合成でDICを使った結果、水の中の釣り合いが変わったからだと考えられています。
短い時間にこれだけpHが動く液では、教科書どおりの式がそのままでは合いません。そこでNTTは、滴定法の値とセンサの値の差をpHとの関係で調べ、pHに応じて計算結果を直す補正式を作りました。
| 滴定法と比べた相対誤差 | |
|---|---|
| 補正する前 | 最大約3,300% |
| 補正したあと | 最大約8% |
ただし、この補正式が確かめられたのは5Lの培養瓶、25℃、pH8から10の範囲という実験室の条件です。工場のような大きさで同じように働くかは、これから確かめる段階でした。
明るいときと、暗いとき
できあがった技術を使って、12時間ずつ明るさを切り替える実験も行われました。補正したDICから液の中の炭素量を出し、容器の空気中にあるCO2の炭素量と足しています。
そのうえで、藻を入れた区画と藻を入れない区画を並べました。両者の差を取れば、藻が使った分の炭素だけが残ります。
光を当てている間は、光合成によるCO2の取り込みとつじつまの合う炭素量の減少が見えました。暗い間は光合成が止まり、呼吸などの影響で明るいときとは違う動きが観察されています。
吸う量が一日中同じではないことが、連続した数字で見えるようになりました。いつ吸っていて、いつ止まるのか。それが分かると、CO2を多く吸わせる条件を探せます。

まとめ
- NTTが2026年9月15日、藻がCO2をいつどれだけ吸ったかを連続して測る技術を確立したと発表した
- 培養液の中でCO2は姿を変えるため、溶存無機炭素(DIC)全体の動きを追う必要がある
- 従来の滴定法は培養液を汲み出す必要があり、連続して見続けられなかった
- センサの値をそのまま計算すると誤差が最大約3,300%。原因は培養中にpHが約8.4から約10.0へ上がること
- pHに応じた補正式で最大約8%まで下げた。ただし有効が確かめられたのは5L・25℃・pH8〜10の実験室条件
- 補正後のDICの炭素量と容器の空気中のCO2の炭素量を足し、藻のいない区画との差で藻が使った炭素を取り出した
- 論文は2026年8月12日に国際学術誌 Algal Research に掲載された
センサが直接読んでいるのは、CO2などの測定値です。DICはそこから炭酸平衡の計算で出した値で、溶けたCO2と重炭酸イオン、炭酸イオンの割合を決めるのは主にpHでした。
だからpHが8.4から10.0へ動く藻の液では、式にpHを入れ直さないと合いません。補正式が直したのはセンサではなく、DICを計算する段でした。


