https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2018779.html

みなさんは、遠く離れた場所から農業機械を操縦できる未来を想像したことがありますか?
2025年大阪万博では、NTTと北海道大学が「IOWN(アイオン)」という次世代ネットワークを使い、北海道のロボットトラクターを大阪から遠隔操縦する体験ができるイベントが開催されます。スマート農業やリモート農業が農業にどんな変化をもたらすのかを考えてみましょう。

IOWN APNとは

IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)は、NTTが開発している新しい通信技術です。今までのネットワークは途中でデータを電気信号に変換していましたが、IOWN APNは最初から最後まで全てを光でつなぎます。
これにより、通信の遅延がほとんどなくなり、大容量のデータも素早く送ることができます。大阪と北海道のような遠く離れた場所でも、リアルタイムで映像や操作情報をやり取りできるのです。

ロボットトラクターと遠隔操縦の仕組み

ロボットトラクターは、自動で畑を耕したり種をまいたりできる農業機械です。しかし、障害物があったりGPSの電波が弱くなったりすると、自動運転が止まってしまうことがあります。そんな時は、トラクターに付いたカメラの映像をリアルタイムで送り、遠くからでも映像を見ながら操縦できます。
遠隔操縦にはゲームのコントローラーを使うため、誰でも簡単に操作できます。

遠隔操縦を支える2つの技術

一つ目の技術は、遠隔からの距離感を分かりやすくする工夫です。北海道大学が開発した映像に距離や目標を示す表示を使い、誰でも安心して操縦できるようにしています。二つ目の技術は、IOWN APNです。IOWN APNは大容量の映像やデータを遅延なく送れるため、遠くからでもストレスなく操縦できます。
これがスマート農業やリモート農業の大きな強みです。

デジタルツインとバーチャルファーム

実際の農作業を始める前に、コンピューター上に"バーチャルファーム"を作って作業のシミュレーションができます。これをデジタルツインと呼びます。バーチャルファームで練習することで、失敗や事故を防ぎ、安全に作業ができます。また、実際の農場とバーチャルファームを組み合わせた体験も可能です。

スマート農業・リモート農業の未来

今は1人が1台のロボットトラクターを監視するのが一般的ですが、今後は1人で複数の農機を同時に遠隔操作できるようになるでしょう。これにより、農業の効率が大きく上がり、農家の負担も減ります。また、IoTやAI、ドローンなどの技術も農業にどんどん取り入れられています。センサーで土壌や作物の状態を自動でチェックし、水や肥料の量を最適に調整できます。
こうしたスマート農業の進化が、農業人口の減少問題を補う大きな力になっています。

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2025年には、ヤンマーや農研機構などがAI搭載のロボットトラクターや自動収穫ロボットを相次いで発表しています。これらの技術は、作業の手間を減らしながら、品質の高い作物づくりにも役立っています。
また、北海道大学とNTTは、IOWN APNやデジタルツインの技術を使い、農作業の遠隔操作や監視の仕組みをさらに進化させる研究を進めています。

まとめ
  • IOWN APNで遠隔地から農機を遅延なく操縦可能に
  • ロボットトラクターで自動運転と遠隔操作の両立
  • デジタルツインで安全に作業シミュレーション
  • スマート農業により効率化と省力化が進む
  • リモート農業で農家の負担を軽減し生産性を向上

日本の農業は高齢化や人口減少によって深刻な労働力不足に直面しています。しかし、IOWN APNやスマート農業、リモート農業の技術が進化することで、少ない人手でも広い農地を効率よく管理できるようになります。これにより、農業の未来は大きく変わり、農業に興味を持つ人や新しい働き方も生まれやすくなります。技術革新は農業だけでなく、物流や建設、サービス業など他の分野にも応用できます。みなさんも、将来どんな仕事をしたいか考えてみませんか?自分が暮らす未来の社会を想像しながら、新しい技術や経済のしくみについて調べてみると、新しい発見があるかもしれません。