小・中学校の授業数、各教科一律に3~4%削減 情報教育拡充で [学習指導要領の改訂]:朝日新聞

 2030年度以降に始まる次期学習指導要領で情報教育が拡充されるのに伴い、文部科学省は25日、小学3年生~中学3年生が1年間で学ぶ国語や算数など各教科のコマ数について、一部を除き現在から一律3~4%ほ…

中学校の技術の授業では、木材で作品を作ったり、作物を育てたり、電気回路を組んだりします。その技術科を「情報・技術科」という新しい教科にする案が、2026年9月25日に文部科学省の会議で示されました。案は、コンピューターやプログラムを扱う技術(この記事では情報技術と呼びます)の学習を大きく増やすとしています。そして、技術科のほかの学習の土台にする考えです。
では、木工や作物づくりの授業はなくなるのでしょうか。代わりに何を学ぶのでしょうか。

そもそも学校で何を学ぶかは、国の「学習指導要領」で決まる

中学校で何を学ぶかは、国が定める学習指導要領に書かれています。たとえるなら、全国の学校の授業のもとになる設計図のようなものです。ただし、毎時間の授業の進め方まで細かく決めているわけではありません。

学習指導要領はときどき見直されます。いまは次の改訂に向けて、文部科学省の会議で専門家などが話し合っています。今回の案はその話し合いのまとめの案で、まだ決まったものではありません。

いまの技術科は、4つのまとまりに分かれている

いまの技術科は、社会で使われている技術を4つのまとまりに分けて教えています。

いまのまとまりおもな内容
A 材料と加工の技術木材での作品製作など
B 生物育成の技術作物の栽培など
C エネルギー変換の技術電気回路など
D 情報の技術情報メディアの特徴、プログラミングによる問題解決など

4つのうち、情報技術を中心に学ぶまとまりはDだけです。

案が挙げた課題は、情報技術をDの中でしか学ばないこと

案は、いまの技術科に3つの課題があると書いています。1つ目は、情報技術の学習がDの中だけで終わっていて、内容も外国と比べて見劣りすることです。

2つ目は、木材、栽培、電気を扱うA、B、Cで、情報技術と結びつけて学ぶ形になっていないことです。3つ目に、技術を使って暮らしや社会の困りごとを解決する取り組みが足りないことも挙げています。

木材のブロックと苗と電子回路が、1枚の光る板の上に並んでいる
案では、木工や作物づくりはなくならず、情報技術と組み合わさる

では、木工や栽培の学習はなくなるのでしょうか。案を読むと、なくす形にはなっていません。4つのまとまりを、次の2つに組み替えるのがよいとしています。

1つ目は、情報技術そのものを学ぶまとまりです。生成AIやプログラミング、情報の安全を守る技術(情報セキュリティ)などで、学ぶことを大きく増やします。

2つ目は、情報技術を土台にして、ものをつくる技術を学ぶまとまりです。いまのA、B、Cの内容は、この2つ目のまとまりで扱われます。なお、下の表の「仮称」は、まだ正式に決まっていない仮の名前という意味です。

新しいまとまり中に入る項目(仮称)
1.情報技術情報の表現とデジタル化/プログラミングと自動化/情報基盤とシステム化
2.情報を基盤とした生産技術材料加工とデジタル製作/生物育成とデータ活用/エネルギー変換とスマート化/技術の統合

表の「生産技術」は、ものをつくる技術のことです。2つ目のまとまりの項目名を見ると、材料加工、生物育成、エネルギー変換という、いまの学習の名前が残っています。そして、デジタル製作やデータ活用のように、情報技術を使うことを表す言葉が足されました。

A、B、Cの学習に、3Dプリンタやセンサーを持ち込む

たとえば、案は3Dプリンタを使う例を挙げています。画面で立体の形を設計する道具(3D CAD)を使い、複雑な形の部品を3Dプリンタで実物にする例です。

3Dプリンタは、設計したとおりに材料を少しずつ積み重ねて、形を作る機械です。また、センサーで測ったデータや、コンピューターの中で試す道具(シミュレータ)も使うと書かれています。

さらに、A、B、Cのうちいくつかをまたぐ例も示されました。地域の防災で人を助けるロボットづくりや、作物の育つ環境をちょうどよく整えるスマート農業です。どちらも、身の回りの困りごとを技術で解決する題材です。

3Dプリンタが複雑な形の部品を1層ずつ積み上げている
情報技術のまとまりでは、データ、プログラム、システムの順に学ぶ

1つ目のまとまりの3つの項目は、順につながるように並べられました。最初の「情報の表現とデジタル化」では、データを正しく読み取る力をつけます。本当に正しいかを疑って確かめ、分かりやすく伝えるところまでを学ぶ項目です。

次の「プログラミングと自動化」では、目的に合った命令をプログラムにして、作業や判断の一部を機械に任せます。作業をより正確に、むだなく進めるためです。部屋の温度を見て自分で強さを変えるエアコンは、決まった判断を機械に任せている身近な例です。

最後の「情報基盤とシステム化」では、いくつもの技術を組み合わせた仕組み(システム)を評価し、よりよく直します。そのとき、社会への影響にも気を配ります。たとえばスマートフォンも、たくさんの部品やプログラムがつながって1つの道具として働くシステムです。

データで表し、プログラムで自動化し、組み合わせてシステムとして使う。案は、社会で使われている情報技術はこの形で働いていると説明し、その順を追って学ぶとしています。

まだ案の段階で、項目の名前もすべて仮称

今回のものは、会議に出された話し合いのまとめの案です。また、表に挙げた項目の名前も、すべて仮称だと書かれています。

朝日新聞によると、次の学習指導要領は2026年度末までに正式に示され、始まるのは2030年度以降の予定です。つまり、いまの中学生が卒業するまでには、まだ始まらない見込みです。

まとめ
  • 中学校の技術科を「情報・技術科」という新しい教科にする案が、文部科学省の会議で示された
  • 案では、いまの4つのまとまりを、情報技術と、それを土台にしてものをつくる技術の2つに組み替える
  • 木材の加工、栽培、電気の学習は、新しい項目名に残っている。案はなくすのではなく、情報技術と組み合わせるとしている
  • 情報技術のまとまりでは、データを確かめる、プログラムで任せる、組み合わせてシステムにする、を順に学ぶ
  • まだ話し合いのまとめの案で、項目の名前はすべて仮称

この案では、情報技術を学ぶ場が広がります。情報技術を中心に学ぶまとまりを1つ置き、そのうえで木材や栽培、電気の学習の土台にもします。案によると、いまは情報技術をDの中でしか学ばず、A、B、Cの学習とつながっていません。身の回りの困りごとを技術で解決する取り組みも、まだ足りないとしています。そこで案は、木材の加工でも栽培でも、情報技術を土台にして学ぶ形に組み直すとしているのです。

内容は、文部科学省の会議の配付資料と、2026年9月25日の朝日新聞の記事によります。