「空飛ぶ基地局」HAPS、スマホで下り最大36Mbps ソフトバンクが実測値を公開 - CNET Japan

ソフトバンクは9月18日、成層圏を飛行する「空飛ぶ基地局」HAPSとスマートフォンの間の通信速度を、報道向け説明会で明らかにした。8月に高知県室戸市の上空で実施した試験で、最大で下り36Mbps、上り4.8Mbpsを記録したという。

スマートフォンの電波は、ふつう近くの鉄塔に立つ基地局から届きます。ソフトバンクはそれを成層圏に浮かべ、スマホで下り最大36Mbpsを出しました。2026年9月18日に明らかにした数字です。
けれども浮かぶ機体は風に流されますし、電話網そのものは地面の上にあります。空の上の基地局は、どうやってスマホを電話網につないだのでしょうか。

この記事の事実と数値はCNET Japanが2026年9月18日に報じた記事によります。仕組みはソフトバンクの2026年9月2日の発表で確かめました。

風を読んで、同じ空の上に居続ける

使われたのは米Sceyeの飛行船で、空気より軽いLTA型です。浮力で高さを保つので、飛行機のように前へ進み続けなくても空にとどまれます。

ただし成層圏にも風は吹いています。そこで試験では、風向きや風速を踏まえて機体を操り、高知県室戸市の上空で半径5km以内に位置を保ちました。電波を出す位置が大きく動くと、届く範囲も一緒に動いてしまうからです。

しかもこの飛行船は8月9日に米ニューメキシコ州を出発し、約13日で1万5,000km以上を飛んで日本に着きました。長く飛べることと、1か所にとどまれることの両方が試されたわけです。

薄い雲の層のはるか上に浮かぶ細長い飛行船。下に地平線の丸みと海岸線が見える
電波は空で受け、地上の局を通って電話網へ

積まれていたのは、4G LTE相当の基地局です。手元の端末はふだんどおり、この基地局とやりとりします。

そしてこの基地局は、地面の上に置いたゲートウェイという局を介して、ソフトバンクのコアネットワークにつながれました。つまり電波は空で受けて、いったん下へ降ろしてから電話網に入ります。

この形で試験を行い、下り最大36Mbps、上り4.8Mbpsが出ました。ソフトバンクは、地上の基地局との干渉を抑えながら、地上の通信網と同等の性能を出せたと説明しています。

試したこと内容
データ通信Webブラウジング、Zoomでのビデオ会議、YouTubeの動画再生、LINE、SMS
音声通話複数のスマートフォンのあいだで繰り返し行い、音声品質を確認
緊急通報海上保安庁の協力で118番へ通報
緊急速報メール緊急地震速報などを届けるしくみを試験配信
岬の小さな地上局から昼の空へ伸びる1本の光の筋が、高所の物体まで途切れず届いている
下へ降ろさず、空で返すと68ミリ秒

ふだんの形では、端末からの通信は下へ降り、インターネットを通ってクラウドで処理されてから戻ります。そこで試験では、飛行船にモバイルコアと処理用のサーバーまで載せました。

すると通信は下へ降りず、空の上で処理されてスマホへ返ります。応答は往復平均で約68ミリ秒で、インターネット経由でクラウドを使う場合より、遅れが40%以上小さくなりました。ソフトバンクによると、この形の試験に成功したのは世界で初めてです。

まとめ
  • ソフトバンクが2026年9月18日、成層圏の基地局と端末の通信速度を公開した。下り最大36Mbps、上り4.8Mbps
  • 飛行船は空気より軽いLTA型。風向きや風速を踏まえて操り、半径5km以内に位置を保った
  • 4G LTE相当の基地局は、ゲートウェイを介してコアネットワークへつながる
  • 通話、動画、118番への緊急通報、緊急速報メールまで試した
  • サーバーを載せて空で処理すると、応答は往復平均約68ミリ秒。クラウド経由より遅れが40%以上小さい
  • 2027年以降の国内商用化を目指している

空の基地局がスマホを電話網につなぐには、同じ場所に居続けることと、受けた電波を下の局へ渡すことの2つが要りました。そして処理まで空で済ませれば、下への往復そのものを省けます。

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