
森を空から写真に撮っても、写るのは木のてっぺんばかりです。
ところが2024年、南米エクアドルのアマゾンで、古い都市の跡が報告されました。手がかりの1つは、LiDARという方法で描いた地形です。
葉にさえぎられて見えない地面の形を、空からどうやって描いたのでしょうか。
LiDARは、光が戻るまでの時間で距離を測る

LiDARって、何をするものなの?

英語で「光で見つけて距離を測る」という意味の語の頭文字なの。
使うのはレーザーという、細くまっすぐ進む光よ。

たとえるなら、山に向かって声を出して、山びこが返るまでの時間で山までの距離を知るようなものね。

山びこなら、山が遠いほど返ってくるのも遅いよね。

LiDARは声の代わりにレーザーを短く撃って、はね返った光が戻るまでの時間を測るの。ただ光は声よりずっと速いから、往復はほんの一瞬よ。
飛行機から撃った光で、地面の点の位置を立体で決める

地形を測るLiDARは、ふつう小さな飛行機に積んで使うのよ。
飛行機から地上へ、1秒に何万発ものレーザーを撃つの。

1秒でそんなに撃つなんて、想像がつかないな。

光が戻るまでの時間からは、当たった点までの距離が分かるわ。

そこに、光を撃った向きと飛行機の位置を組み合わせるの。

飛行機の位置って、どうやって分かるの?

GPSなどで分かるのよ。GPSは、人工衛星を使って今いる位置を知る仕組みなの。
すると、光が当たった点の場所が立体で決まるわ。

山びこで言えば、声を出した向きと自分の立つ位置が分かっていれば、山のどこかが分かるのと同じね。違うのは、山びこで分かるのが1か所だけなのに対し、LiDARは何万発も撃って点を集めるのよ。

こうして集めた、たくさんの点の集まりを点群と呼ぶの。点群の点は、一つ一つが緯度と経度と高さを持っているわ。

その点が全部そろったら、細かい凸凹まで分かりそうだな。

そうね。ただ森の上から撃つと、葉に当たる光も多いのよ。

LiDARの光は葉を通り抜けず、すき間を抜けた分だけが地面に届く

光なら、葉っぱをすり抜けて下まで届くんじゃないの?

意外かもしれないけど、LiDARの光は葉や枝を通り抜けないの。
それでも撃つ数がとても多いから、森の下も測れるのよ。

葉のすき間を抜けて土まで届く光が、ほんの一部でも、たいていは足りるわ。

木漏れ日みたいに、すき間から少しだけ落ちるんだね。

そんなイメージよ。でも木漏れ日は太陽の光ね。LiDARは、自分で何万発も撃った光よ。

米国海洋大気庁の解説書が挙げる目安は、木の間から空が見える所なら測れる、というものなの。
逆に熱帯雨林のようにすき間の少ない森は、光がほとんど木に当たるわ。

光がほとんど木に当たると、どうなるの?

土に当たる点が少なくなって、うまく描けないことが多いの。

同じ解説書は、森の土の形を測るなら、葉が落ちた状態で測るのが有利だと書いているわ。葉が少なければ、すき間を抜けて下まで届く光が増えるのよ。
1発のレーザーから、木と地面のはね返りを別々に受け取る

1発の光が、木のてっぺん、途中の枝、地面と、何度かに分かれて返ってくることがあるの。

1発なのに、何回も返ってくるの?

2012年の解説書によると、複数のはね返りを記録できる装置は広く使われているわ。1発につき最大5つのはね返りを記録できるのよ。

たとえるなら、手前の木と奥の岩山に声が当たって、山びこが2回聞こえるようなものね。違いは、山びこは聞き分けるだけで、LiDARは何番目に返ったかを記録することよ。

最初に返ってきたのが木で、最後が地面ってことか。

いい線よ。何番目のはね返りかは、光が何に当たったかを見分ける手がかりになるの。途中のはね返りが土から来ることは、まずないわ。

でも最後のはね返りだけを集めても、建物や茂った木に当たった点が残るのよ。最後だからといって、土に当たったとは限らないの。

地上に当たる光は、点といっても少し広がりがあるわ。隣どうしが重なるほど細かく撃つこともあるの。わざと重ねて撃つと、すき間を抜けて下まで届く点が増えるのよ。

木のすき間を、数で攻めるんだな。

そうよ。数を増やすほど、すき間を抜ける光も増えるわ。

地面の点だけを残して木を取り除くと、森の下の地形が現れる

点群には、建物や木に当たった点もすべて入っているわ。
そこで地面と判定した点だけを残し、ほかの点を取り除くの。

木をはぎ取るみたいだな。

木をはぎ取ったあとの、地表の高さだけを表す地図ができるの。
たとえるなら、砂に落ちた枯れ葉を1枚ずつつまんで取り除くようなものね。違うのは、どれが枯れ葉かを選ぶのがコンピューターだということよ。

土に当たった点かどうかは、自動のフィルターで判定するの。そのため残した点に、木や建物の点がまぎれることもあるわ。

コンピューターも、たまには間違えるんだな。

そうよ。それでも、土まで届く点が足りた場所では、深い森の下でも、地形を描ける場合があるのよ。

LiDARを使った調査の例に、エクアドルのアマゾンのウパノ谷があるわ。この谷を調べた論文が、2024年1月に科学誌Scienceに載ったの。

そこで、何が見つかったの?

現地の調査とLiDARの解析から、大きな基壇や広場、道の跡が見つかったわ。基壇は、建物の土台のことよ。

発掘から、人が住んでいたのは紀元前500年ごろから西暦300〜600年ごろまでと分かったの。

広場や道まである都市だったなんて、驚きだな。

見えない地表の形を測れるのが、LiDARのおもしろいところね。
まとめ
- LiDARは、レーザーが戻るまでの時間で距離を測る
- 撃った向きと飛行機の位置を合わせ、光が当たった点の場所を立体で決める
- 光は葉を通り抜けないが、すき間を抜けた一部の光が地面に届く
- 1発から複数のはね返りを受け取り、何に当たったかの手がかりにする
- 地面の点だけを残し、建物や植物を取り除いて地形を描く
森の下の地形を描けるかどうかは、光が葉を通るかどうかでは決まりません。すき間を抜けて土まで届く点が、どれだけ残るかで決まります。
1秒に何万発も撃つのも、点を重ねて撃つのも、下まで届く点を増やすためです。
仕組みは米国海洋大気庁の解説書「Lidar 101」(2012年)と、冒頭の米国海洋大気庁のページによります。
点群から地表の形を作る手順は、米国地質調査所の解説が出典です。アマゾンの都市の跡は、Scienceに載った論文の要旨によります。

