NASA’s Simulated Mars Crew Marks One Year Inside Habitat - NASA
The four crew members in NASA’s simulated Mars mission have spent the past year living and working in isolation in a confined habitat at NASA’s Johnson Space Ce…
2026年10月19日、NASAの模擬火星基地で暮らす4人が、入居から1年を迎えました。4人は今も基地の中にいます。
家族とのメールはわざと火星と同じくらい遅れて届き、返事まで往復で最大約44分かかります。火星とのやりとりは、なぜここまで遅れ、ときには途絶えることまであるのでしょうか。
CHAPEAは火星暮らしを地上でまねる実験

CHAPEAって、何をしている基地なの?

CHAPEAは、火星で1年ほど暮らすと人の体や心、仕事ぶりがどう変わるかを調べる、NASAの実験だよ。
舞台はジョンソン宇宙センターにある約158平方メートルの建物で、3Dプリンターで造ったんだ。

たとえるなら、火星行きの予行演習だね。といっても、火星へは行かず、地上で条件をまねるだけだよ。

4人は2025年10月19日に入って、378日の計画で暮らしているよ。
宇宙服で赤い砂の区画に出たり、作物を育てたりしてきたよ。

赤い砂の上に出るなんて、ほんとに火星みたいだね。

そうだね。そんな暮らしも、もうすぐ区切りだよ。
退出は米国時間10月31日の予定で、その様子は日本時間11月1日の午前4時から配信される見込みなんだ。
電波は光の速さを超えて進めない

火星と連絡するときは、何を使うの?

電波だよ。光の仲間で、宇宙の真空を秒速約30万kmで進むんだ。それより速くは進めないよ。

届くまでの時間は、距離を光の速さで割った値で決まるよ。地上は距離が短いから、気づかないだけなんだ。

たとえるなら、道路に制限速度があって、遠い町ほど着くまで時間がかかるのと同じだね。ただ、宇宙の制限速度は光の速さで、破れないんだ。

じゃあ、遠い火星だと、けっこう時間がかかりそうだね。

NASAによると、太陽から火星までは平均で約2億2,800万kmあって、光でも13分かかるんだ。これは、太陽から地球までを1とすると約1.5だよ。
火星までの距離は公転で大きく変わる

地球と火星の距離は、時期で大きく変わるんだ。
2つとも太陽のまわりを回っていて、この動きを公転というんだよ。

どっちも同じ速さで回ってると思ってた。

違うんだ。内側の地球は1年で1周するけど、外側の火星は1周に約687日かかるよ。

たとえるなら、トラックの内側を走る人が、外側の人を何度も追い抜くようなものだね。
だから、2つの惑星が近づくころと、反対側へ離れるころが、くり返し訪れるんだ。ただ、惑星にゴールは無くて、ずっと回り続けているよ。

いちばん遠いときは、どれくらいになるの?

太陽をはさんで反対側に並ぶと、2つの惑星の間は、内側の1と外側の約1.5を足して約2.5になるよ。
これは、光で13分かかる道のりの約1.7倍(2.5÷1.5)だね。

13分×1.7を計算すると、およそ22分という概算が出るよ。CHAPEAで再現している遅れも、片道22分なんだ。

片道でそれなら、返事をもらうまでは倍かかるのか。

そう、行きと帰りの2回分だから、片道約22分×2で、往復は最大約44分だよ。
質問を送ってから答えが返るまで、授業1コマ分ほど待つ計算だね。

合のころ、NASAは火星の探査機への指令を止める

反対側に並ぶ時期には名前があって、合(ごう)と呼ぶよ。約2年に1度やってくるんだ。

そのとき、通信で何か困るの?

このころ、火星へ向かう信号は太陽のそばを通るんだ。
太陽の外側の層からは、熱く電離したガスが吹き出していて、信号が乱されるおそれがあるよ。

電離って、何?

電離は、原子から電子がはがれて、ガスが電気を帯びた状態のことだよ。

たとえるなら、霧の中で懐中電灯の光がぼやけるのに近いね。ただ、ガスは電波を弱めるだけでなく、地球から火星の探査機に送る指令の中身を壊すおそれがあるんだ。

それは危ないな。NASAはどうしているの?

乱れた指令を受け取ると、探査機は思わぬ動きをするおそれがあるんだ。
そこでNASAは、2023年の合では11月11日から25日までの2週間、火星の探査機に指令を送らないと発表したよ。

CHAPEAでも、合をまねたことはあるの?

入居200日目の2026年5月7日、4人は合をまねて、2週間の通信途絶の最中だったよ。
地上から指示を出す管制チームと連絡が取れないから、前もって決めた手順で作業を進めたんだ。

遅れがあると火星の乗員は自分たちで判断する

44分も待つと、火星では何が困るの?

機械が壊れても、相談して答えが届くまで最大で約44分かかるんだ。電話のように、話しながら一緒に直すことはできないよ。

たとえるなら、先生に質問の手紙を出して、返事が来るまで自力で解き進めるようなものだね。とはいえ、解く相手は宿題ではなく、壊れた機械だよ。

壊れた機械も、自力で直すしかないんだね。

火星行きの通信の遅れと途絶をNASAがまとめた白書も、乗員と機械には管制から大きく自立して動く力が要るとしているよ。

NASAの説明では、CHAPEAのデータの一部は、遅れの中で乗員の判断を助ける仕組みづくりに役立つ可能性があるそうだよ。

つまり、火星へ行く前に、地上で調べておくってことか。
まとめ
- 電波は光の速さを超えられず、届くまでの時間は距離を光の速さで割った値で決まる
- 2つの星は公転の速さが違い、反対側に並ぶと遅れが最大になる
- 約2年に1度の合では、電離したガスが電波を乱すおそれがあり、NASAは探査機への指令を止める
遅れの長さは、通信機の性能ではなく、光の速さと2つの惑星の位置で決まります。
電波を中継する機器を置けば、途絶は和らげられる可能性があるとNASAはみています。ただし信号は同じかそれ以上の道のりを進むので、遅れそのものは消せません。
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この記事のもとは、NASAが2026年10月19日に出したCHAPEAの1年の発表です。
往復で最大44分の遅れは、2024年7月に1回目が終わったときの報告によります。片道22分は2回目の入居を伝える報告、2週間の通信途絶は200日目の報告によります。
中継の話の出どころは、火星との通信の遅れと途絶についてNASAがまとめた白書です。火星までの道のりはNASAの火星の解説、合の話はNASAの2023年の案内によります。




