約1万3000年前に絶滅した大型肉食動物「ダイアウルフ」が、最先端の科学技術によって現代に復活しました。
アメリカのバイオテクノロジー企業「コロッサル・バイオサイエンス社」が、遺伝子編集とクローン技術を駆使して3頭の個体を誕生させたのです。
この研究は「絶滅種の復活」という新しい領域に踏み込みつつあります。しかし、この技術の進歩には、生態系への影響や倫理的な問題も伴っています。絶滅種の復活のしくみと今後の可能性について見てみましょう。
ダイアウルフとは?
ダイアウルフ(学名:Aenocyon dirus)は、約1万3000年前まで北アメリカに生息していた大型のイヌ科動物です。
- 体の特徴:現代のオオカミよりも大きく、強力なあごと歯を持つ。
- 食性と生態:馬やバイソンなどの大型草食動物を狩っていた。
- 名前の由来:「恐ろしいオオカミ」を意味し、ゲームや映画にも登場。
気候変動や獲物の減少によって絶滅したと考えられています。
科学が生み出す新たな命:復活の技術とは
コロッサル社は、化石から取り出した古代DNAをもとに、遺伝子編集技術とクローン技術を組み合わせてダイアウルフのような動物を作り出しました。
- DNA解析:1万3000年前と7万2000年前の化石からDNAを抽出し、ハイイロオオカミとの違いを分析。
- 遺伝子編集:約20か所の遺伝子を変えて、白い毛並みや大型の体格などの特徴を再現。
- クローン作製:編集済みの細胞を犬の卵子に入れ、代理母を通じて3頭が誕生しました。
現在は自然保護区で安全に飼育されており、環境への影響も慎重に観察されています。
本当に「復活」なのか?科学と倫理の視点
今回のダイアウルフは、99.5%がハイイロオオカミと同じDNAを持っています。見た目は近くても、完全に同じ生物とは言えません。
また、この技術には次のような課題があります:
- 生態系への影響:復活動物が自然界でどう振る舞うかは予測が困難。
- 倫理的問題:絶滅種の再生にどのような意義があるのか。
- 安全性の懸念:新しい病気のリスクや予期せぬ影響が考えられます。

他にもある絶滅種の復活プロジェクト
ダイアウルフだけでなく、他の動物でも復活を目指した研究が進んでいます。
- ケナガマンモス:ゾウに寒冷地の遺伝子を加え、マンモスのような動物の再生を計画中(2030年目標)。
- タスマニアタイガー(フクロオオカミ):オーストラリア固有の肉食有袋類で、近縁種のDNAを活用した研究が進行中。
- ドードー鳥:ハトを使った孵化実験が2024年に開始されました。
これらのプロジェクトは科学的に意義深い反面、新たな課題も抱えています。
まとめ
- ダイアウルフの復活は、遺伝子編集とクローン技術の進化による成果
- 見た目は似ていても、「完全な復活」とは言い切れない
- 他の絶滅種でも復活プロジェクトが進んでいる
- 生態系や倫理、安全性への配慮が重要
もしあなたが1つだけ絶滅動物を復活できるとしたら、どれを選びますか?その動物が自然に与える影響や、人間社会との関わりも考える必要があります。
科学技術はすごい力を持っていますが、それをどう使うかは私たち次第です。自然との共生を大切にしながら、未来の技術のあり方について一緒に考えてみましょう。