名古屋大学が「白髪を防げる」天然の抗酸化物質を発見 - ナゾロジー

「年齢を重ねると増える白髪を、野菜に含まれる天然の物質で抑えられるかもしれない」――そんな嬉しい発見を、名古屋大学の研究チームが発表しました。 セロリやブロッコリーなどにも含まれる「ルテオリン」という…

白髪を防ぐ新たな可能性

「年齢とともに増える白髪を、野菜に含まれる天然成分で防げるかも!」そんな画期的な研究結果を、名古屋大学の研究チームが発表しました。セロリやブロッコリーなどに含まれる「ルテオリン」という成分が、マウスの実験で白髪の進行を72%も抑える効果を示したのです。

本研究は2024年12月に科学雑誌『Antioxidants』に掲載され、美容業界だけでなく、バイオテクノロジー分野でも注目を集めています。

若い世代も悩む白髪の現状

白髪は高齢者だけの悩みではなく、10代や20代でもストレスや栄養不足、遺伝の影響で白髪に悩む人が増えています。白髪対策といえば染めるのが一般的ですが、今回の研究でルテオリンが白髪の予防に効果がある可能性が示されました。

海外では、グレイヘアを活かすスタイルが人気ですが、依然として多くの人が白髪染めなどの対策を続けています。

白髪ができる仕組みとは?

髪の毛の色を決める「色素幹細胞」が減ると白髪が増えます。名古屋大学の研究によると、髪の毛の根元にある「幹細胞プール」で細胞同士の連携が低下することが原因とされています。具体的には、「エンドセリン」という物質と、その受容体「Ednrb」の働きが減少し、色素細胞が機能を失ってしまうのです。

実験では、特別なマウスに16週間ルテオリンを投与。その結果、老化の指標となる「p16ink4a」を持つ細胞の減少が確認され、細胞の活性が回復しました。このメカニズムにより、白髪の進行が大幅に抑えられたのです。

ルテオリンの働きと白髪対策

ルテオリンは、野菜などに含まれる黄色い色素成分(フラボノイド)の一種。抗酸化作用があることで知られていますが、今回の研究で細胞間の情報伝達を促進する新たな働きが確認されました。

外部から塗布しても、食事から摂取しても効果がありますが、特に塗布の方が白髪予防に効果が高いと考えられています。さらに、他の抗酸化物質では同じ効果が得られないことから、ルテオリンの特有の構造が鍵を握っているようです。

ルテオリンを多く含む食品

ルテオリンは以下の食品に豊富に含まれています。

  • セロリ
  • ピーマン
  • 春菊
  • パセリ
  • 大葉(シソ)
  • ミント
  • カモミール
  • 玉ねぎ
  • りんご
  • にんじん

これらをバランスよく食べることで、白髪予防に役立つ可能性があります。

最先端技術が切り開く毛髪科学の未来

毛髪再生技術は急速に進化しており、最新の「レーザー顕微解剖法」を用いることで、毛根の特定部位を詳細に分析することが可能になりました。さらに、AIを活用した新たな抗酸化物質の開発や、3Dプリンターを使った毛髪再生技術の研究も進んでいます。

また、遺伝子編集技術「CRISPR」を使った白髪治療の臨床試験が始まり、2025年にはマイクロロボットによる毛根への薬剤直接投与技術の実用化が期待されています。これらの技術が組み合わさることで、白髪予防の新たな選択肢が広がるでしょう。

まとめ:白髪の未来は明るい
  • ルテオリンが色素幹細胞の活性を高め、白髪の進行を72%抑制する。
  • 外部塗布の方が効果が高く、育毛製品の新たな成分として期待される。
  • AIやレーザー技術を活用した毛髪再生研究が進んでいる。
  • 遺伝子編集技術やマイクロロボット技術による毛髪治療の実用化が進行中。
  • ルテオリンを含む食品を摂取することで、自然な白髪予防が可能になる可能性がある。
白髪研究の未来と可能性

白髪予防の技術は美容業界だけでなく、医療や宇宙開発にも応用が期待されています。例えば、宇宙飛行士の放射線ダメージを軽減する手段としてルテオリンの効果が検討されています。将来的には、白髪という概念そのものが変わるかもしれません。

科学と技術の進化により、私たちの髪の健康を守る新たな方法が次々と生まれています。これからの革新的な白髪対策に期待しつつ、まずは日常の食生活でルテオリンを取り入れてみてはいかがでしょうか?