次世代スパコン「富岳NEXT」、開発スタートへ 「GPU導入」「AI連携」「シミュレーション性能5倍以上」目指す - ITmedia AI+
理化学研究所は、スーパーコンピュータ「富岳」の次世代となるフラッグシップシステムの開発整備を月内から始めると発表した。
スーパーコンピュータ(スパコン)は、膨大なデータを瞬時に処理できる、現代科学技術の最前線を支えるツールです。
最新のスパコンは1秒間に1兆以上の計算を行い、新薬の開発や気候変動の予測、さらには社会全体の課題解決にも活用されています。
世界各国が次世代スパコンの開発に力を注ぎ、日本の「富岳NEXT」もその一翼を担っています。この革新的な技術が未来にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
日本の挑戦:「富岳NEXT」の特徴
「富岳NEXT」は、日本の理化学研究所が開発を進める次世代スパコンです。このスパコンは以下の分野での応用が期待されています:
- 科学技術:新薬の分子設計や気候変動予測など
- 産業分野:自動車の衝突安全性テストやエネルギー効率の最適化
- 社会インフラ:災害予測や都市通信システムの設計
主な特徴
- GPU導入:画像処理を強化する特殊チップを搭載
- AI連携:人工知能(AI)との協力による効率的な処理
- 高性能:現在の「富岳」の5–10倍の性能を目指す
- 省エネ設計:消費電力を大幅に削減
この進化は、新薬の迅速な開発や複雑な社会現象のシミュレーションを可能にし、多様な分野での進歩を後押しします。
世界のスパコンランキングと特徴(2024年版)
※LINPACK性能は、スーパーコンピュータの計算速度を評価する基準で、数値計算の処理能力を測ります。値が高いほど計算力が優れていることを示します。
アメリカ
アメリカはスパコン開発で世界をリードしています。2024年のランキングでは、以下のスパコンが上位にランクインしました:
- El Capitan:世界最速、LINPACK性能1.742 ExaFlops
- Frontier:2位、LINPACK性能1.353 ExaFlops
- Aurora:3位、LINPACK性能1.012 ExaFlops
日本
日本の「富岳」は6位にランクインし、LINPACK性能は442.01 PFlopsです。また、HPCGやGraph500のベンチマークで10期連続1位を獲得しており、科学技術の分野で高く評価されています。
- 富岳:6位、LINPACK性能442.01 PFlops。HPCGやGraph500ベンチマークで10期連続1位を獲得。
ヨーロッパ諸国
欧州連合(EU)も以下のスパコンを運用しています:
- HPC6(イタリア):5位、LINPACK性能442.01 PFlops
- Alps(スイス):7位、LINPACK性能434.90 PFlops
- LUMI(フィンランド):8位、LINPACK性能379.70 PFlops
中国
中国も過去に世界一となった「神威太湖之光」の後継機を開発中とのことですが、最近のランキング申請状況は不明です。

共通の技術的特徴
- エクサスケール対応:1秒間に100京回の計算が可能
※「エクサスケール対応」は、スパコンが1秒間に100京回の計算を行える性能を指します。この能力は、新薬開発や気候変動予測など、多くの分野で革新をもたらします。 - 省電力設計:消費電力を抑える工夫
- AI対応:AI処理に最適な設計
- マルチコア技術:1つのCPUに複数プロセッサを搭載
次世代スパコンの活用分野
次世代スパコンは以下の分野での活用が期待されています:
- 科学技術:分子シミュレーションで新薬を迅速開発
- 産業:航空機設計や安全性評価の精度向上
- 社会システム:通信インフラ最適化や災害復旧計画の効率化
まとめ
- 世界のスパコン競争は、科学技術力や経済競争力の向上に直結
- 日本の「富岳NEXT」は技術革新を牽引する重要な存在
- スパコン技術の進化は、多様な分野に影響を与える
次世代スパコンは未来を描く鍵です。
「もし自分がスパコンを使えたら、どんな課題を解決したいか?」や「AIとスパコンの連携でどんな未来が可能になるか?」といった問いを考えてみてください。また、学校や家庭でスパコンの仕組みを学び、応用例を調べることも未来を広げる一歩です。技術革新を活用し、より良い社会を築きましょう。