東京からNYへ“宇宙経由”で1時間！宇宙旅行×高速移動×最新ロケット技術

飛行機で約12時間かかる東京とニューヨークを、たった60分で結ぶ。まるでSF映画のような話ですが、これが現実になろうとしています。
2025年10月、日本の旅行会社「日本旅行」が、宇宙を経由して地球上の2地点間を高速移動するサービスの計画を発表しました。2030年代の実現を目指すこの計画の価格は、往復で約1億円。この壮大な構想は、一体どのような技術で実現するのでしょうか。そして、なぜ宇宙を通るとそんなに速く移動できるのでしょう。

その鍵を握るのが、今まさに世界中で開発競争が激化している「再使用型ロケット」という最先端の技術です。

宇宙経由の高速移動、その驚きの仕組み

なぜ宇宙空間を通ると、これほどの高速移動が可能になるのでしょうか。理由は大きく2つあります。

理由1：空気抵抗がほぼゼロの世界
私たちが住む地上の上空には、大気と呼ばれる空気の層があります。飛行機が飛ぶとき、この空気の分子と衝突するため「空気抵抗」という力が発生し、スピードを出す妨げになります。
しかし、宇宙空間はほぼ真空です。つまり、ロケットの進路を邪魔するものがほとんどありません。そのため、一度スピードに乗れば、地上とは比べ物にならないほどの超高速で移動し続けることができるのです。

理由2：地球を飛び越える最短ルート
飛行機は地球の表面に沿って、少しカーブを描きながら飛びます。一方、宇宙経由の移動では、一度大気圏を突き抜けて宇宙空間に出てから、放物線を描くように目的地の真上まで移動し、再び降下します。これは、地表をなぞるよりも短い「サブオービタル飛行」と呼ばれるルートです。空気抵抗がないことに加え、この直線的な最短ルートを通ることで、東京から地球の裏側にあるニューヨークまで、わずか60分という劇的な時間短縮が実現可能になります。

計画を可能にする核心技術「再使用型ロケット」とは？

この宇宙を使った高速移動を実現するための最も重要な技術が「再使用型ロケット」です。​

「使い捨て」から「繰り返し使う」へ
従来のロケットは、一度打ち上げたらエンジンや燃料タンクなどを海に投棄する「使い捨て」が当たり前でした。1機あたり何十億円もするロケットを毎回新しく作るため、打ち上げコストは非常に高額でした。​
しかし「再使用型ロケット」は、打ち上げ後に機体を地上や洋上に垂直に着陸させて回収し、整備したうえで再び打ち上げに利用します。これにより、製造コストを大幅に削減し、まるで飛行機のように高頻度でロケットを飛ばすことが可能になります。この技術こそが、宇宙旅行や高速移動のコストを下げ、ビジネスとして成り立たせるための鍵なのです。​

日本の挑戦と世界のライバル

この計画でロケット開発を担うのが、日本のベンチャー企業「将来宇宙輸送システム（ISC）」です。同社は、完全再使用を目指すロケット「ASCA（アスカ）」を開発しています。海外では、米国のSpaceX社がすでに再使用型ロケット「Falcon 9」を実用化し、宇宙開発のコスト破壊をリードしています。
日本でもホンダなどの企業が開発に参入しており、世界中で民間企業による技術開発競争が加速しています。​

宇宙旅行から始まる「新時代の観光とビジネス」

今回の計画は、単なる移動手段にとどまりません。日本旅行は、2026年度から宇宙食の体験や関連施設を見学する地上ツアーを開始し、2040年代には宇宙空間や地球の軌道上に滞在する本格的な宇宙旅行の提供を目指しています。
また、人だけでなく貨物を運ぶ「宇宙輸送」も視野に入っており、実現すれば世界の物流やビジネスのあり方を根底から変える可能性があります。​

まとめ

• 宇宙経由で東京-ニューヨーク間を約60分で移動する計画が始動
• 空気抵抗のない宇宙空間を最短ルートで飛ぶため、超高速移動が可能
• 核心技術は「再使用型ロケット」で、コストを下げて繰り返し利用することを目指す
• 日本のベンチャー「将来宇宙輸送システム」が開発を担当
• 未来の旅行だけでなく、物流やビジネスにも大きな変化をもたらす可能性

この再使用型ロケット技術が当たり前になれば、グローバルビジネスのスピードは劇的に向上し、新しい産業が生まれるでしょう。例えば、現在は数日かかる国際的な緊急物資の輸送が数時間で可能になるかもしれません。一方で、航空業界や既存の物流業界は、この破壊的な技術革新に対応する必要に迫られます。
このような巨大プロジェクトには、開発のための莫大な資金が必要です。ベンチャー企業が投資家から資金を集め、大手企業と提携して事業化を目指す。これは、最先端技術を社会実装するための現代的なビジネスモデルの一例です。

もし、1時間で世界のどこへでも行ける時代が来たら、あなたはどこへ行って何をしたいですか？そして、この技術は、私たちの社会や経済をどのように変えていくと思いますか？未来の働き方や世界のつながり方を、ぜひ想像してみてください。

NotebookLMで作成した解説動画も御覧ください。（日本語）