世界初、ドローンを使用した雷の誘発・誘導に成功~空飛ぶ避雷針として街やインフラ設備を守り、雷被害ゼロの社会をめざす~ | ニュースリリース | NTT
発表のポイント: ◆電界変動を利用した、ドローンによる雷の誘発・誘導に世界で初めて成功しました。 ◆ドローンに雷が直撃しても誤作動・故障させない...
雷は自然界でもっとも強力なエネルギーのひとつです。毎年、建物やインフラが被害を受け、私たちの生活にも影響を与えています。しかし、もし雷を安全にコントロールできたら、未来の社会やエネルギーのあり方はどう変わるのでしょうか?
NTTが世界で初めて成功させた「ドローンによる雷誘導技術」は、そんな未来を現実に近づける大きな一歩です。この技術の仕組みや活用の可能性、そしてエネルギーとしての雷利用について見てみましょう。
ドローン誘雷技術とは?
避雷針では足りなかった理由
これまでの雷対策は、建物に避雷針を設置する方法が一般的でした。ただし、風力発電所や広い野外イベント会場など、避雷針では対応しきれない場所も多く、柔軟な対策が求められていました。
空飛ぶ避雷針の仕組み
NTTの新技術では、ドローンを雷雲の近くまで飛ばし、地上とワイヤーで接続します。地上からの操作で電気を流すと、ドローン周辺の電界が高まり、雷を狙った場所に導くことが可能になります。移動できる「空飛ぶ避雷針」の誕生です。

NTTプレスリリースより
技術の仕組みと安全性
雷に耐えるドローン設計
雷は瞬間的に強い電流と磁界を発生させます。NTTのドローンには「耐雷ケージ」と呼ばれる金属製シールドが装備されており、電流を外部に逃がして本体を守ります。人工雷による試験では、自然落雷の98%以上に対応し、通常の5倍の電流にも耐えられることが確認されています。
電界制御で雷を誘導
ドローンと地上をつなぐワイヤーに適切な電圧を加えることで、周囲の電界を一気に上昇させます。これにより、雷が発生しやすい環境を作り出し、狙った場所へ雷を誘導することが可能です。実験では、ドローンに雷が落ちる瞬間が観測されています。
応用と将来展望
社会インフラへの活用
この技術は、従来の避雷針が設置できなかった場所に対応可能です。特に、風力発電所や屋外イベント、都市部のインフラ設備などでの利用が期待されています。今後は、都市部でのドローン運用に関する法整備も重要な課題となるでしょう。
雷エネルギーを電力へ
NTTは、誘導した雷のエネルギーをためて発電に活かす研究も進めています。たとえば、雷で空気を圧縮し、その圧力で発電する仕組みなどが検討されています。もし実現すれば、雷は再生可能エネルギーの新しい選択肢になるかもしれません。
海外の取り組みも進行中
世界でも雷エネルギーの活用に関心が高まっています。南米ベネズエラでは雷多発地域を利用した発電実験が行われており、日本の栃木県でも雷を活かしたまちづくりが進められています。

NTTプレスリリースより
まとめ
- ドローンによる雷誘導技術は、避雷針が使えない場所にも対応できる新しい雷対策
- 耐雷ドローンと電界制御により、安全かつ狙った場所へ雷を誘導可能
- 風力発電所や都市インフラなど、社会的インパクトの大きい分野での活用が期待される
- 雷エネルギーを電力として再利用する研究が進行中
- 海外でも雷を活かした新技術や実験が注目されている
雷は長い間「危険な自然現象」として避けられてきましたが、技術の進歩により「資源」としての活用が可能な時代が近づいています。このような革新が進めば、私たちの生活やエネルギー社会にも大きな変化が生まれるかもしれません。
もし自由に雷の力を使えるとしたら、あなたはそれをどのように活かしてみたいですか?雷の発生メカニズムやエネルギー変換の仕組みを調べて、自分なりのアイデアを考えてみましょう。
