AIで試験も面接も突破!? Cluelyに見る“ズル”の進化と倫理

もしAIがテストや面接の「答え」をこっそり教えてくれるとしたら、あなたはどうしますか？
アメリカの名門大学を退学になった学生が開発したAIチートツール企業「Cluely」が、約7億4000万円もの資金を集めて大きな話題となっています。このニュースは、AIという強力な技術をどう使うべきか、私たちに問いかけています。

「ズル」を助ける技術は許されるのか。それともAIは社会のルールを変える新たな力なのでしょうか。この記事では、話題のAIツール「Cluely」の技術と反響を見てみましょう。

AIで就活無双？退学から生まれたCluelyの衝撃

物語は、コロンビア大学の学生だったチュンギン・リー氏から始まります。彼はIT企業の就職活動で出される難関コーディング試験を、自作のAIツール「Interview Coder」を使って突破しました。このツールは、試験問題をリアルタイムで解析し、最適な答えを画面に表示します。

リー氏はこのツールを使い、MetaやAmazon、TikTokなどの有名企業から内定を獲得しました。しかし、その様子をSNSに投稿したことが問題となり、特にAmazonでの試験の様子を動画で公開したことにより、大学側から退学処分を受けました。

この経験を逆手に取り、同じく退学処分を受けた友人とともに立ち上げたのが、AIスタートアップ「Cluely」です。

Cluelyの仕組み：見えないAIアシスタント

Cluelyは、Interview Coderの技術をさらに進化させたAIツールです。最大の特徴は、試験監督や面接官に気付かれずに使えることです。まるで「見えないAIアシスタント」のように、ユーザーをリアルタイムで支援します。
パソコンの裏側で動作し、画面の内容やマイクからの音声をAIが解析。試験問題の解答や面接の返答、さらには会話のアドバイスまでを、小さなウィンドウで表示します。

現在はMac版がリリース済みで、Windows版も開発中です。Cluelyは、面接や試験だけでなく、プレゼンや営業の支援など幅広いシーンで活用されています。

ベンチャーが注目！7億円超の資金調達

Cluelyは、技術力と未来の可能性を評価され、アメリカの有力ベンチャーキャピタル「Abstract Ventures」や「Susa Ventures」などから530万ドル（約7億4000万円）を調達しました。

この資金は、機能拡張やWindows版の開発に活用される予定であり、Cluelyが今後さらに多くの分野で使われることが期待されています。

SNSでの反応：AI活用はズル？それとも進化？

SNSでは、Cluelyに関して賛否両論が巻き起こっています。

賛成派の意見：

• AIは新しい学習ツールであり、使い方次第では学びを深められる。
• 電卓やインターネットも最初はズルだと言われた。
• 効率よく知識を得るのは現代的な学習法だ。

反対派の意見：

• 公平性が失われる。不正行為にあたる。
• テストや面接の本来の目的が損なわれる。
• AIに頼りすぎると考える力が育たない。

中立的な意見：

• AIの使用にはルールや倫理教育が必要。
• 技術自体は悪くないが、使う人の意識が重要。

このように、AIの活用を巡っては、まだ社会的な合意が形成されていないのが現状です。

技術と倫理のせめぎ合い：AIチートが投げかける問い

Cluelyの創業者リー氏は、「電卓やGoogleも最初はズルとされた。AIも同じだ」と語り、「未来は努力より影響力が大切だ」とも発言しています。
一方で、教育機関や企業にとっては、公正さや信頼性が大切です。AIによる不正を防ぐための検出技術も進化し、Cluelyのようなツールとの攻防が続いています。

この問題は、AI時代における教育・評価のあり方、そして社会が重んじる価値観を問い直す重要なテーマです。

まとめ

• AIチートツール「Cluely」は、退学になった学生が立ち上げたスタートアップ
• Cluelyは、試験や面接で気付かれずに使える高性能なAIツール
• 7億円以上の資金調達に成功し、将来性が期待されている
• SNSでは、賛否の意見が拮抗
• 技術の進歩にあわせ、倫理やルールの整備が求められている

AIが身近になった現代社会で、私たちはどのようにこの技術と付き合っていくべきなのでしょうか。たとえば、金融の世界ではAIによる株価分析や自動取引が当たり前になっていますが、そこにも公平性や透明性の課題があります。

同じように、教育や就職の場でもAIの活用には、使う人の倫理観や制度の整備が不可欠です。あなたはAIをどう使いこなしますか？どこまでが「賢い工夫」で、どこからが「ズル」だと思いますか？ぜひ、身近な人とこのテーマについて話し合ってみてください。未来のルールをつくるのは、あなたたち若い世代です。