手先が不器用になる子どもたち、「驚くべき異変」を専門家が危惧 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

上着のファスナーを上げる、ページをめくるなど、単純な動作がタブレットで育った世代には難しくなってきている。親が知っておくべきこととは。

最近、手先が「不器用な」こどもが増えているという調査結果が出ています。スマートフォンやタブレットの使用時間の増加、便利な生活グッズの普及、外遊びの減少などが、子どもたちの微細運動能力に影響を与えているようなのです。
テクノロジーの進化が子どもの発達に与える影響と、家庭でできる対策をわかりやすく解説します。

手先が不器用になる主な原因

子どもが手先をうまく使えなくなる背景には、現代の生活環境が大きく関係しています。

  • スクリーンタイムの増加:スマートフォンやタブレットを長時間使用することで、手を使う遊びの時間が減っています。
  • 便利な生活用品:ボタンやファスナーのない服、開けやすいパッケージ食品の増加により、手先を使う機会が減っています。
  • 外遊びの減少:公園や屋外での活動が減り、体全体の運動量が不足しています。
微細運動能力とは?

微細運動能力とは、手や指を使って細かい動作をする力のことです。例えば、靴ひもを結ぶ、鉛筆で文字を書く、積み木を積むといった動作が該当します。これらの能力は、自立した生活だけでなく、学習や集中力、コミュニケーション力の向上にもつながる重要なスキルです。

テクノロジーの影響:良い面と注意点

デジタルデバイスを使った教育アプリや学習ツールは、言語能力や理解力を高める効果があります。しかし、使いすぎは手を動かす時間を奪い、微細運動能力の発達を妨げるおそれがあります。親や教育者は、デバイスの使用時間と手を使った活動のバランスを意識することが大切です。

手先を使う遊びが減ることによる影響
  • 微細運動能力の低下:靴ひもを結ぶ、ハサミを使うなどの動作が難しくなります。
  • 社会性・自信への影響:できないことが増えると、子どもは自信をなくし、友達との交流も避けがちになります。
  • 学習面への支障:手書きや工作が苦手になると、授業への参加意欲も下がります。
  • 集中力の低下:パズルや手作業の遊びを通じた集中力のトレーニングが不足します。
家庭でできる簡単な対策
  • 料理やお手伝い:野菜をちぎる、混ぜる、洗うなど、楽しく手を使える機会を増やしましょう。
  • 紙を切る・折る活動:折り紙やクーポン切りなど、細かい動きの練習になります。
  • 外遊びの習慣化:公園での鬼ごっこやボール遊びは、体と手の連動を促します。
まとめ
  • スクリーンタイムの増加が微細運動能力に影響を与えている
  • 手先の器用さは、学力や自己肯定感にも関係する大切な力
  • 親は、家庭内で手を使う遊びや作業を積極的に取り入れることができる

ゲームや動画を見ている時間、どれくらいあるか家族で話し合ってみませんか?料理や折り紙など、手を使って楽しめることはたくさんあります。外で元気に遊ぶ時間を大切にすることで、子どもの集中力や自信も育ちます。テクノロジーと上手に付き合いながら、「手の力」を育てていきましょう。