株式会社ispaceのプレスリリース(2025年2月15日 16時08分)ispace、ミッション2マイルストーンSuccess 5「月フライバイ」に成功!
これまでの宇宙開発は国家が主導するのが一般的でした。しかし近年では、民間企業が新たな宇宙ビジネスに挑戦し、大きな可能性を切り開いています。その中でも特に注目されるのが、日本の宇宙スタートアップ「ispace」です。同社は低コストで月への輸送を実現し、将来的には月面資源の活用や商業利用を目指しています。
2025年2月には、民間企業として世界で初めて「月フライバイ」に成功しました。この成果が宇宙開発の未来にどのような影響を与えるのでしょうか?ispaceの挑戦、技術的意義、そして今後の展望について見てみましょう。
ispaceとは?HAKUTO-Rプログラムの概要
ispaceは「人類の生活圏を宇宙に広げる」という壮大な目標を掲げ、日本を拠点に宇宙開発を進める企業です。低コストで高頻度の月輸送サービスを提供するため、小型の月着陸船(ランダー)と探査車(ローバー)を開発しています。
同社が進める「HAKUTO-R」プログラムは、以下の2つの主要なミッションを実施しています。
- ミッション1:ランダー技術の実証
- ミッション2:月面探査とデータ収集
2025年2月には、ミッション2で使用された「RESILIENCEランダー」が、民間企業として初めて月フライバイを達成しました。

ispace プレスリリースより
月フライバイとは?その技術的意義
月フライバイとは、宇宙機が月の近くを通過する航行手法です。今回ispaceが達成した高度約8,400kmでの飛行は、「低エネルギー遷移軌道」という高度な技術を活用しています。
この技術では、地球や月、太陽の重力を利用することで燃料の消費を抑えながら効率的に航行できます。具体的には、ラグランジュ点を活用した軌道設計やリアルタイムの姿勢制御が必要とされます。これにより、燃料を最小限に抑えながら正確な軌道での飛行を実現しました。
この成功は、ミッション1で得たデータを活用し、精密な軌道計算と運用技術の組み合わせによって可能になりました。将来的には深宇宙探査や商業利用への応用が期待されています。
ミッション2のペイロード:科学と文化の融合
RESILIENCEランダーには、科学と文化の両面で価値のある6つのペイロード(搭載物)が積まれています。
- 月面用水電解装置(高砂熱学工業):水を酸素と水素に分解し、宇宙での利用を探る
- 食料生産モジュール(ユーグレナ):月面環境での食料生産の可能性を検証
- 深宇宙放射線プローブ:宇宙放射線が人体や機器に与える影響を調査
- ユネスコメモリーディスク:人類の文化遺産をデジタル記録し、未来に残す
これらの研究は、科学技術だけでなく人類の文化的な側面も含んでおり、宇宙開発の意義を広げる重要な役割を果たしています。

HAKUTO-Rの未来:商業利用への展望
HAKUTO-Rプログラムは単なる技術実験ではなく、商業利用を前提としたプロジェクトでもあります。
- 月面資源開発:月面にある氷や鉱物資源を採掘し、宇宙で活用
- 物流サービス:月面基地建設に必要な物資の輸送
- データ販売:月面探査で得た情報を科学研究や企業に提供
これらのビジネスは、宇宙での経済活動を拡大する可能性を持っています。
例えば、月面で採掘された資源の市場規模は数兆円に達する可能性があり、宇宙物流やデータ販売も成長が期待されています。また、宇宙インフラの発展によって、通信やエネルギー供給の新たなビジネスチャンスも生まれるでしょう。
ispaceが示す新しい宇宙開発モデル
ispaceは日本だけでなく、アメリカやヨーロッパにも拠点を持ち、国際的な宇宙開発をリードしています。2026年にはアメリカ法人が主導するミッション3が予定されており、月面の持続可能な探査と資源採掘を目指しています。
このミッションでは、月面での長期滞在技術の確立や、採掘可能な鉱物の分析が行われる予定です。その後も継続的に新たな挑戦が計画されており、宇宙開発の未来を切り拓く存在として期待されています。
これまで国家が主導してきた宇宙開発の分野において、民間企業が主役となる時代が到来しつつあります。ispaceはその先駆者として、新しい宇宙開発のモデルを示しています。

まとめ
- ispaceは民間企業として初めて月フライバイに成功し、宇宙開発の可能性を広げた。
- HAKUTO-Rプログラムは、科学技術と文化の両面で意義のあるミッションを展開。
- 宇宙ビジネスは、将来的に私たちの生活にも影響を与える可能性がある。
もしあなたが宇宙プロジェクトに関わるとしたら、どんな役割を果たしたいですか?ロボットを作るエンジニア、データを分析する専門家、計画をまとめるリーダーなど、いろいろな仕事があります。
また、宇宙技術が私たちの日常をどのように変えるか考えてみましょう。例えば、「月面で採掘された資源が地球でどのように使われるか?」を想像するだけでも、新たなアイデアにつながります。
宇宙開発は、私たちみんなに関わる重要なテーマです。これからの宇宙ビジネスの可能性について、一緒に考えてみませんか?