オルツ、LLMを活用した「計算アーキテクチャ生成モデル」を構築開始 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
~産業特化型GPUの開発を加速し、AIが自らのための計算基盤を創る時代へ~ 2025年2月14日 株式会社オルツ 株式会社オルツ(本社:東京都港区、代表取締役:米倉 千貴)は、世界的なコンピュータアーキテクチャの権威である Duc-Minh Nguyen教授(Vice Dean, School of Electrical and Electronic Engineering, Hanoi University of Science and Technology)と共同研究を開始しました。
みなさん、GPU(グラフィックス処理装置)という言葉を聞いたことがありますか? GPUは、ゲームや動画編集だけでなく、AIや科学計算など、さまざまな分野で活躍するコンピュータの重要な部品です。
しかし、その設計には膨大な時間とコストがかかるため、新しいGPUを開発するのは容易ではありません。そこで注目されているのが、AIを活用したGPU設計の自動化技術です。
日本の企業・株式会社オルツは、大規模言語モデル(LLM)を活用してGPU設計の効率化を目指すプロジェクトを発表しました。この技術が実現すれば、医療や自動運転など特定の用途に最適化されたGPUが、より低コストで開発可能になります。
AIとハードウェアの未来を大きく変える可能性を秘めた技術革新に期待が高まっています。
GPUの基礎知識
GPUの役割とは?
GPU(Graphics Processing Unit)は、コンピュータ内で画像や映像を処理するために作られた装置です。もともとは3Dグラフィックスの描画に特化していましたが、現在ではAIの学習や科学計算など、膨大なデータ処理を高速に行う用途にも活用されています。
CPUとの違い
CPU(Central Processing Unit)はコンピュータ全体を制御する「頭脳」としての役割を持ちます。一方、GPUは並列処理に特化し、画像処理やAIモデルのトレーニングを高速化するために設計されています。例えば、ゲームでリアルな映像を動かしたり、AIの計算を効率的に行ったりする際にGPUが重要な役割を果たします。
オルツのプロジェクトとは?
オルツは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、GPU設計を自動化する「計算アーキテクチャ生成モデル」を開発しています。これにより、これまで人間が手作業で行っていた複雑なGPU設計プロセスをAIが効率的に進めることが可能になります。
解決する課題
- 開発コストの削減
GPU設計には年間約283億ドル(約4兆円)の費用がかかっていますが、オルツの技術を活用することで最大80%削減し、年間226億ドル(約3兆円)のコストカットが可能とされています。 - 試作回数の削減
AIによるシミュレーションを活用することで試作回数を大幅に削減し、開発期間の短縮とコストの最適化を実現します。 - 特定用途向けGPUの開発
医療や自動運転など、各産業に最適なカスタムGPUを低コストで開発できるようになります。
LLM(大規模言語モデル)とは?
LLM(Large Language Model)は、人間の言葉を理解し、新しい文章や回答を生成できるAI技術です。本やインターネットの記事など膨大なデータを学習することで、自然な会話や文章を生成する能力を持っています。
LLMの仕組み
- 大量データによる学習
膨大な文章データから単語の使い方や文脈を学びます。 - 文脈の理解
前後の文章の関係を分析し、適切な単語やフレーズを予測します。 - 文章の生成
学んだ知識をもとに、新しい文章を書いたり、質問に答えたりできます。
LLMは「超賢いアシスタント」とも言える存在で、質問に答えたり、プログラムを生成したりすることができます。この技術がGPU設計にも応用されているのです。

AIとGPU設計がもたらす未来
オルツの技術によって、「AIが自身に必要なハードウェアを自動設計する時代」が実現しつつあります。これにより、AIが独自に最適なGPUを作成し、さまざまな分野での技術革新を加速させることが期待されています。
例えば、自動運転車のAIが自ら最適な処理を行うGPUを開発したり、医療分野でより高度な画像診断を行う専用チップが作られたりする可能性があります。さらに、このプロジェクトは日本政府の支援を受けており、日本発の技術として世界的な注目を集めています。
まとめ
- GPUは画像処理だけでなく、AIや科学分野でも重要な役割を果たしている。
- オルツはLLMを活用してGPU設計を自動化し、高コストや開発の複雑さという課題を解決しようとしている。
- AIが自ら最適なハードウェアを設計できる未来が到来しつつあり、産業ごとの特化型GPU開発が可能になる。
AIやGPU技術に興味を持った中高生のみなさんも、このような最新技術について調べてみませんか? プログラミングやAIの学習を通じて、将来の技術革新に貢献できるエンジニアを目指すチャンスがあります!