学校で習った水循環のバランスが崩壊、地球上の全人口に影響 WMO(1/2) - CNN.co.jp

学校の授業で習った水循環のバランスが、ここへ来て崩れつつある。化石燃料による汚染がその原因で、河川の縮小や氷河の消失、洪水と干ばつの激しい変動など、数々の危険な結果をもたらしている。世界気象機関(WMO)が発表した世界の淡水に関する年次分析報告書で明らかになった。 - (1/2)

蛇口をひねれば水が出ますが、地球の水循環ぜんたいは目で見えません。世界気象機関(WMO)は2026年9月17日、2025年の川の流れが35年で最も乾いた年のひとつだったと発表しました。世界の流域面積の36%が平年を下回っています。
ただしこの36%は、川を1本ずつ測って足した数ではありませんでした。

WMO: Recent water trends have serious future implications

The WMO State of Global Water Resources report is a comprehensive science-based annual assessment of the hydrological cycle and extreme events in 2025 and over the past five years.

この記事の事実と数値はCNNが2026年9月19日に報じた記事によります。一次はWMOが2026年9月17日に公開した発表です。

川の水量は、13のモデルが計算している

WMOはこの数字の出どころを、発表のなかではっきり書いています。世界全体の川を扱う13個の水文モデルで計算した結果でした。

そしてモデルを動かしているのは、実際に観測された気象のデータでした。雨がどれだけ降ったか、気温がどうだったかを入れて、川にどれだけ流れたはずかを計算します。

世界中の川に流量計を置いて回ることはできないので、水循環のうち川にあたる部分は、測るのではなく計算して出していました。しかも「平年並み」の流域が少数派になったのは、2025年で7年続けてのことです。

水循環の測り方は、ひとつではなかった

報告書に寄与した情報は3種類だとWMOは記していて、現地での観測とモデルの出力、そして宇宙からのデータが挙げられました。

そして同じ「水が減った」という結論でも、場所ごとに出どころが違います。水循環には速い側と遅い側があるからです。雨や川や土の湿り気は数日から数週で動き、地下水や氷河、季節の積雪は季節から数十年かけて動きます。

WMOのサウロ事務局長は、水循環のこの遅い側を地球の貯金口座にたとえました。1回の干ばつや乾いた季節があっても、すぐに水不足にならないよう、悪い年を吸い込んできたクッションです。そして今は、その貯金を取り崩していると続けています。

水循環のどこかどう出しているか
川の流量13の全球水文モデルのシミュレーション
陸に蓄えられた水の総量宇宙からのデータ
地下水井戸での観測。2025年は約3分の2が平年の範囲外
夜の川辺に量水標と井戸の蓋とパラボラアンテナが並んでいる
貯金の減り方は、宇宙と井戸と氷の重さで測る

水循環の貯金の残高は、川とは別の方法で確かめられています。陸の貯水量は、地下水、湖と川、土の水分、植物、雪や氷の水を足したものです。宇宙からのデータで見ると、これが2010年代半ばから減り続けていました。

地上では井戸が手がかりになります。2025年は観測している井戸の約3分の2が平年の範囲を外れ、前の年より不足の側へ寄りました。

そして氷河は、面積ではなく失った重さで数えます。2023年から2025年までに失ったのは1,400ギガトンで、人が1年に取水する淡水の約3分の1にあたる量でした。

測れていない場所が、いちばん困っている

報告書が扱う水循環の項目は、2021年の初版では3つでした。それが15の水文変数まで増えています。

ただしWMOは、報告書に入っている水の観測がいちばん手薄なのはアフリカとアジアだと断っています。極端な気象の影響を最も受けている地域が、そこでした。

CNNが伝えたWMOのジェンキンソン氏の言葉が、この状況を言い当てています。測定できないものは管理できない、というものです。

地球儀の上で観測点の光が地域によって密と疎に分かれている
まとめ
  • WMOは2026年9月17日、2025年の川の水量が35年で最も乾いた年のひとつだったと発表した
  • 世界の流域面積の36%が平年以下。ただしこれは13の全球水文モデルのシミュレーションに基づく
  • 水循環の報告書に寄与したのは現地観測・モデル出力・宇宙からのデータの3種類
  • 地下水や氷河などの遅い側は、悪い年を吸い込む貯金。陸の貯水量は2010年代半ばから減り、井戸の約3分の2が平年外
  • 氷河は2023〜2025年の累積で1,400ギガトンを失った。年間の淡水取水量の約3分の1
  • 扱う水循環の項目は3つから15の水文変数へ増えたが、アフリカとアジアは観測が最も少ないままだと断られている

35年で最も乾いたという結論は、13個のモデルで計算した川の部分から来ています。しかし悪い年を吸い込むはずの水循環の遅い側も、減り続けていました。宇宙からのデータも井戸も氷の重さも、そろって同じ向きを指しています。