イギリスのテクノロジー企業Nothingが、三つの画面を備えた「三画面トライフォールド端末」のコンセプトを発表しました。スマートフォンはすでに完成された製品だと言われることもありますが、実際には形状や内部技術の分野で進化が続いています。
今回のコンセプトは、人気ストリーマーIShowSpeed氏のアイデアを出発点に、設計やコスト試算まで行われた点が特徴です。

Nothingとは:ロンドン発の技術集団

Nothing(ナッシング)は、2020年にロンドンで設立されたテクノロジー企業です。「人とテクノロジーの間の障壁を取り除く」をミッションに掲げ、デザイン性の高い製品で知られています。

主な製品ラインナップ

  • スマートフォン:背面が光る「Glyph Interface」が特徴の「Phone (1)」「Phone (2)」「Phone (3)」シリーズ。
  • CMF by Nothing:優れたデザインをより身近にするサブブランド。スマートフォン「CMF Phone」やスマートウォッチなどを展開。
  • オーディオ:内部が見える透明デザインの「Ear (1)」「Ear (a)」などのワイヤレスイヤホン。
三画面トライフォールド端末が示す「マルチタスク」の未来

今回発表されたコンセプト端末は、三つの独立した画面を持つ「トライフォールド(三つ折り)」構造です。通常のスマホは1画面でアプリを切り替えて使いますが、この端末は「同時表示」に特化しています。

技術的な特徴と用途

  • 専用ドングル:通信処理などの重い負荷を本体から逃がすため、USB 4対応の外部ドングルを活用。本体の薄さと高性能を両立させる工夫です。
  • 3画面独立表示:ゲーム画面、チャット、データ分析(メトリクス)を同時に表示。PCのマルチモニター環境をスマホサイズに凝縮する設計です。
  • モジュール構造:3つ目の画面は取り外し可能で、単体の外部カメラとしても機能します。スマホの部品を「ブロック」のように付け替える発想です。
開発費85億円が示す技術的ハードル

Nothingは、この端末が製品化を前提としないコンセプトであることを明確にしています。その理由の一つがコストです。

Nothingの試算によると、部品代だけで約1,840ドル(約28万5,200円 ※1ドル=155円換算研究開発費(R&D)には約5,500万ドル(約85億2,500万円)が必要とされています。
​特に「トライフォールド構造」の開発には約5,000万ドル(約77億5,000万円)が見積もられており、ディスプレイを2回折り曲げる技術がいかに難しいかを物語っています。
また、着脱式のモジュールカメラの開発だけでも約500万ドル(約7億7500万円)がかかるとされています。

3画面スマートフォンのイメージ
スマートフォンの進化に伸びしろはある?

「スマホはもう進化しきった」という声もありますが、形状や内部技術の分野では変化が続いています。Nothingの事例や市場の動向から、二つの視点が見えてきます。

形の進化:折りたたみ市場の成長
通常の「板状」のスマートフォンは機能面で成熟していますが、折りたたみスマホ(フォルダブル)の市場は成長を続けています。市場調査によると、折りたたみスマホの出荷台数は2025年以降も増加傾向にあり、900〜1,800ドル(約14万円~28万円)という高価格帯でも一定の需要があることが確認されています。
「画面を折りたたんで持ち運ぶ」「開いて大画面で作業する」という使い方は、新しい標準になりつつあります。

技術の進化:ヒンジとソフトウェア
複数の画面を持つ端末を支えているのは、目立たない技術の進歩です。

  • ソフトウェア:画面の開閉に合わせてアプリの配置を瞬時に切り替える制御技術
  • ヒンジ:数十万回の開閉に耐え、スムーズに動く精密な機構
  • 柔軟なディスプレイ:曲げても画質を損なわず、割れにくい有機ELパネル
まとめ
  • Nothingの三画面トライフォールド端末は、ストリーマー向けに設計されたコンセプトモデル
  • 三つの画面、着脱式モジュール、Kevlar素材など、用途に特化した独自機能を提案
  • 実現には約1,840ドルの部品代と、約5,500万ドルの開発費が必要と試算
  • スマートフォン市場全体では、折りたたみなどの新しい形状が成長分野

Nothingのコンセプトは、スマートフォンが単なる通信機器から、「特定の目的(今回は配信)に特化したツール」へと姿を変える可能性を示しています。開発費や部品コストの壁は高いものの、折りたたみ技術や新しい素材の活用は、着実に進んでいます。
もし自分がスマートフォンを設計できるなら、どんな機能を一番に入れますか?技術の進化を知ることで、これからの道具選びや、未来のアイデアが少し変わって見えるかもしれません。