飛行機に乗っている時に突然ガタガタ揺れて、不安になったことはありませんか。その揺れの多くは「乱気流」が原因です。乱気流は自然現象で完全に避けることは難しいとされてきました。
しかし今、日本の航空会社ANAとスタートアップBlueWXが、AIを使った世界初の乱気流予測システムを導入しました。AIがどのように乱気流を予測し、空の旅を安全で快適に変えていくのかを見ていきましょう。

乱気流はなぜ起きるのか

乱気流とは、空気の流れが乱れる現象です。目には見えませんが、上空ではさまざまな要因が複雑に絡み合って乱気流が生まれます。

主な原因

  • ジェット気流:上空に吹く強い風の周辺で、風向や風速が急に変化すると発生します。
  • 山や地形:山を越える風が乱れて渦を作り、飛行機を揺らします。
  • 積乱雲:雲の中では上昇気流と下降気流がぶつかり、大きな揺れを引き起こします。
  • 後方乱気流:飛行機の翼の後ろにできる渦が、後続機に影響を与えることがあります。
  • 晴天乱気流:雲がない青空で突然起きる乱気流。予測が難しく、気候変動で増えていると報告されています。
世界初!AIで挑むANAの新システム

これまで予測が難しかった乱気流に対し、ANAは2025年に「AI乱気流予測システム」を導入しました。このシステムは、AIの一種であるディープラーニングを活用しています。過去10年以上にわたる数万件のパイロット報告と気象データを学習し、複雑な乱気流の発生パターンを見つけ出します。
その結果、日本上空での予測精度は86%に達しました。

開発したのは日本のスタートアップ「BlueWX」

この技術を開発したのは、慶應義塾大学から生まれたBlueWXです。2019年からANAと共同研究を続け、2023年に設立されました。ANAグループのパイロット2,500人以上が協力し、実際のフライトでテストを繰り返したことで高い精度を実現しました。

BlueWXは、飛行機だけでなくドローンや空飛ぶクルマ(eVTOL)への応用も目指しています。今後は世界中の航空会社に技術を提供し、空の安全を支えていく計画です。

BuleWX プレスリリースより
AI予測がもたらす効果

AIによる予測は、パイロットが揺れやすい空域を事前に避け、安全で快適なフライトを実現します。また、無駄な燃料消費を減らすことで、航空会社のコスト削減やCO2排出削減にもつながります。これは環境保護にも大きな意味を持ちます。

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近年、AIを活用した交通分野の技術は急速に発展しています。自動車業界では自動運転システムが注目を集め、物流ではAIが最適な配送ルートを算出しています。空の安全対策においても、AIが重要な役割を担い始めています。

まとめ
  • 乱気流は風や雲、地形などが原因で発生
  • ANAは世界初のAI乱気流予測システムを導入
  • 開発したのは慶應義塾大学発のスタートアップBlueWXです。
  • AIはパイロットの報告データと気象情報を学習し、86%の予測精度を達成
  • AI予測は安全性向上だけでなく、燃料節約や環境保護にも役立つ

AIとビッグデータを活用する技術は、航空業界にとどまらず金融や医療、物流など幅広い分野で使われています。例えば株価の予測や病気の早期発見、渋滞回避や災害時の避難支援などです。
もしあなたがAIを自由に使えるとしたら、どんな問題を解決してみたいですか?AIの活用方法を考えることは、未来の社会やビジネスを変えるヒントにつながります。ぜひ身近な問題と結びつけて考えてみてください。