驚愕の「段ボール製日の丸無人機」どう使う? 見た目は「マジで紙」だがスペックは神かも | 乗りものニュース
名古屋市のスタートアップ企業が「段ボールで作った軍用ドローン」を実用化させようとしています。どのようなものなのでしょうか。
みなさんは、段ボールで作られた無人機が実用化されていることを知っていますか?名古屋市のスタートアップ企業「エアカムイ」は、段ボール素材を活用した自爆型無人機「エアカムイ150」を開発しました。
この新しい技術は、低コスト・軽量・大量生産が可能であり、軍事だけでなく災害対応や物流など幅広い用途が注目されています。なぜ段ボールが選ばれたのか、どんな性能があるのか、見てみましょう。
エアカムイとは?
名古屋発のディフェンステックスタートアップ
「エアカムイ」は2022年8月に設立された愛知県名古屋市天白区のスタートアップ企業です。
当初は山岳救難用の捜索ドローン開発を目指していましたが、2022年2月から続くウクライナ侵攻を受けて、自爆型無人機の開発に転換しました。2025年春には1億円の資金調達を実施し、事業拡大を進めています。
ORIGAMI Droneの技術仕様
驚異的な性能を持つ段ボール製無人機
開発された「AirKamuy 150」の具体的な性能は以下の通りです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 全長 | 約1.7メートル |
| 横幅 | 1.8メートル |
| 重量 | 約4キログラム |
| 飛行時間 | 1~2.5時間 |
| 飛行距離 | 約150キロメートル |
| 最高速度 | 時速120キロメートル |
| 離陸方法 | 手投げ |
| 最大搭載重量 | 1.5キログラム |
両手で軽々と持ち上げられるほど軽量でありながら、一般的なマルチコプター型ドローン(時速30キロメートル程度)を大幅に上回る高速飛行が可能です。
なぜ段ボール素材なのか?
革新的な材料選択の理由
エアカムイが段ボールを選択した理由は、技術的・経済的な多くのメリットがあるからです。
コストと生産性
従来型ドローンと比較して製造コストを約10分の1に抑えることができます。また、どこでも入手可能な素材のため、短期間での大量生産が実現できます。現地での組み立ても簡単で、特殊な工具を使わず短時間で完成させることが可能です。
軍事的メリット
段ボール素材はレーダー波を反射しにくい特性があり、敵のレーダーに検知されにくいステルス性を持ちます。さらに、生分解性素材のため環境負荷が少なく、使い捨て運用でも自然に分解されます。
実用性の確保
防水加工や撥水加工を施すことで雨天時の運用も可能にしています。また、モーターなどの主要部品は再利用可能な設計となっています。
多様な活用分野
軍事用途を超えた幅広い応用
この段ボールドローンは、軍事用途以外にも様々な分野での活用が期待されています。
防衛・訓練用途
平時には自衛隊の対ドローン訓練用標的として活用できます。低コストのため、多数のドローンを同時使用するスウォーム訓練も安価に実施可能です。
災害対応
地方自治体向けに災害時の被災地調査や物資輸送にも提案されています。軽量で組み立てが簡単なため、緊急時の迅速な運用が可能です。
物流・監視
山間部や離島への物資輸送、警備や監視業務にも応用できます。広いエリアを低コストで監視できるため、イベントやインフラ点検などでも活躍します。

国際的な注目
パリ航空ショーでの展示
2025年6月、パリで開催された世界最大級の航空ショーに「AirKamuy 150」が出展されました。国内外の防衛関係者から大きな関心を集め、日本の技術力を世界にアピールしました。
まとめ
- エアカムイは2022年設立の名古屋発スタートアップ企業
- 段ボール製ドローンは従来の1/10のコストで製造可能
- 飛行距離150キロメートル、最高速度120キロメートルの高性能
- レーダーに映りにくく環境負荷も少ない素材選択
- 軍事・災害・物流・監視など多分野での活用が可能
- 2025年パリ航空ショーで国際的な注目を集める
エアカムイのような技術革新は、ビジネスや経済の世界に新しい価値をもたらします。低コスト・大量生産・環境配慮という考え方は、他の業界にも応用できる可能性があります。身近な素材から生まれる技術は、従来の常識を覆し新しい市場を創造します。
みなさんも日常にある素材や技術で、どんな革新的なアイデアが社会を変えるか考えてみませんか?未来のイノベーションは、意外なところから生まれるかもしれません。自分でも調べて、新しい技術の可能性を探してみましょう。

