「AIだけのSNS」はどんな環境になるか? 米研究者らが観察 「AIは人間より誤情報を拡散しない」:Innovative Tech(AI+) - ITmedia AI+
米UCLAや米MITに所属する研究者らは、AIエージェントだけのSNSを作り、どういった振る舞いをするのかを観察した研究報告を発表した。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、今や日常生活の一部となっています。友人とのつながりや情報収集に便利な一方で、誤情報の拡散という大きな問題も抱えています。
もしSNSの利用者がすべてAIエージェントだったら、どのような社会になるのでしょうか?
UCLAやMITの研究者が開発したAIエージェントによるSNSシミュレーション「MOSAIC」をもとに、AIが人間のように行動し、どのように好みを予測し、誤情報への対策を行うのかをわかりやすく解説します。
MOSAICとは?
MOSAICは、人間の年齢や性別、価値観などを取り入れたAIエージェントを使い、SNSでの行動を再現するシステムです。研究チームは204人分の実データをもとにAIを作成し、投稿や「いいね」、コメント、シェアなどの行動をシミュレーションしました。その結果、AIエージェントの行動は人間の傾向と非常に似ていることが確認されました。
「いいね」の判断もAIが再現
AIエージェントは、与えられた人格情報や過去の行動データ、投稿内容の特徴を分析して、「いいね」を押すかどうかを判断します。注目するのはキーワードや話題、投稿者との関係性、他のエージェントの反応などです。感情に流されず、論理とデータに基づいて行動するのがAIの特徴です。
ユーザーの好みをどう見抜く?
AIはユーザーの行動データ、例えば閲覧時間や反応傾向をリアルタイムで分析します。さらに、機械学習や協調フィルタリングの技術を用いて、似た行動をする他のユーザーとの共通点を探り、どんな投稿が好まれるかを予測します。
こうしてAIは、トレンドの先読みや個人に最適化された情報提供を可能にします。
誤情報拡散へのAIの対応力
SNSで問題視される誤情報の拡散は、感情に左右されがちな人間の特性が影響しています。一方、MOSAICのAIエージェントは、情報の信頼性を重視して行動するため、誤情報が広まりにくいという結果が出ています。
第三者によるファクトチェックや、コミュニティごとの検証、AIと人間の協力によるハイブリッド対策が有効であることも示されました。

なぜ一部の投稿がバズるのか
人気投稿が生まれる背景には、投稿内容そのものよりも、SNSのネットワーク構造や表示アルゴリズムの影響があります。AIエージェントは、これらの構造を分析し、どのように情報が拡散するのかを予測できます。これにより、企業や個人が情報発信戦略を立てる際のヒントにもなります。
誤情報と戦うAIの活躍
オーストラリアの大学では、AIを活用した誤情報対策の研究が進行中です。AIは膨大なSNSデータから疑わしい投稿を特定し、拡散前に検出する技術として注目されています。
自動で情報の信頼性を評価するAIの導入が、今後ますます広がると予想されます。
まとめ
- MOSAICはAIによるSNS行動シミュレーション
- AIは「いいね」や投稿選定をデータから判断
- ユーザーの好みをリアルタイムに予測
- 誤情報への対応力は人間よりも高い可能性あり
- 人気投稿の背景には構造的な要因が大きく関与
SNSには真実と誤情報が混在しています。AIはその中から正しい情報を見極める強力なツールです。あなた自身も、「この情報は正しいのか?」と立ち止まって考える習慣を持つことが大切です。
未来のSNSがどんなかたちになるのか、AIとともに考えてみませんか?