ついに日本上陸、自動運転のWaymoが東京都心でテスト走行を開始 - CNET Japan

グーグルの親会社Alphabetの無人運転部門であるWaymoは4月10日、東京の道路で車両の走行を開始すると発表した。

Googleの親会社Alphabetが手がける自動運転タクシー「Waymo」が、ついに東京でテスト走行を開始しました。
運転手なしで走る無人タクシーは、世界中で急速に進化しています。AI技術と高性能センサーで、人間よりも安全に走行するこの革新的な技術は、私たちの暮らしをどう変えるのでしょうか?
中国のBaiduやAmazon傘下のZooxなど、グローバル企業が参入する自動運転タクシーの最新動向と未来への可能性を見てみましょう。

Waymoとは?東京で走り始めた最先端の無人タクシー

Waymoは2025年4月から、東京都心7区(港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区)でテスト走行を開始しました。日本の大手タクシー会社「日本交通」と、配車アプリ「GO」と提携し、最初は訓練を受けたドライバーによる手動運転でデータを収集しています。

この試験運行の目的は、Waymoの自動運転技術「Waymo Driver」を日本の複雑な道路環境や交通ルールに適応させることです。最大40個のセンサーが装備された車両は、東京の狭い道や多様な交差点でのデータを収集しています。

世界で広がる自動運転タクシー競争

Waymo以外にも、さまざまな国で自動運転タクシーの開発と実用化が進んでいます。

  • Baidu(中国):「Apollo Go」を16都市で展開し、累計900万回以上の乗車実績を持つ
  • WeRide(中国):9カ国30都市以上で展開し、世界初の上場ロボタクシー企業に成長
  • Cruise(米国):GM傘下で、サンフランシスコなどで完全無人タクシーを運行中
  • Pony.ai(中国・米国):広州市内から空港までの有料サービスを開始
  • Zoox(米国):Amazon傘下で、前後対称の都市型自動運転車両を開発
  • Mobileye(イスラエル):高度なカメラ技術で実証実験を世界各地で実施

これらの企業は、それぞれの強みを活かしながら、未来の都市交通をリードしようとしています。

人より安全?自動運転の実力とは

多くの人が不安を抱く自動運転の安全性ですが、実際のデータはその印象を覆します。最新の調査によると、自動運転車の事故率は人間のドライバーより約30%低くなっています。

Waymoの自動運転車は、2,200万マイル(約3,500万キロ)以上を走行し、エアバッグが作動するような重大事故はわずか5件のみ。人間の運転と比べて事故の重症度は6分の1、ケガを伴う事故の発生率は85%も少ないと報告されています。

サンフランシスコやフェニックスでのユーザー満足度は平均4.7点(5点満点)と非常に高く、自動運転の可能性を裏付けています。

AIとセンサーが支える運転の未来

自動運転車の安全性の鍵は、AIとセンサーの連携にあります。特に、Lidar(ライダー)と呼ばれるレーザーセンサーは、車の周囲360度を数センチ単位で正確に測定できます。

さらに、カメラやレーダーを組み合わせることで、雨や霧などの悪天候時でも高い精度で周囲を認識します。これらのデータをAIがリアルタイムで解析し、最適な行動を判断することで、安全かつスムーズな運転を実現しています。

人間のように疲れたり注意力が散漫になることがないため、常に一定の精度を保てるのも強みです。

日本が迎える自動運転のチャンスと課題

日本は世界でも有数の自動車技術大国でありながら、自動運転タクシーの導入では海外に比べて遅れをとっていました。しかし、Waymoのテスト開始は大きな転機となるでしょう。高齢化が進む日本では、地方の交通手段の確保やドライバー不足の解消など、自動運転が解決策となる社会課題が多くあります。

一方で、法律の整備、安全基準、保険制度、そして市民の理解と受容など、導入には多くのハードルも存在します。これらを乗り越えるためには、技術だけでなく社会全体での準備と議論が必要です。

まとめ
  • Waymoが東京でテスト走行を開始し、日本でも本格導入の兆し
  • 世界ではBaiduやCruiseなどが先行し、激しい開発競争を展開
  • データが示す通り、自動運転は人間の運転よりも安全性が高い
  • 高性能センサーとAIが事故リスクを大きく下げている
  • 高齢化社会の課題解決として日本でも期待が高まる

自動運転タクシーは、単なる移動手段の進化にとどまらず、社会構造や経済活動を大きく変える可能性を秘めています。交通事故の減少、環境負荷の軽減、移動の自由度向上など、メリットは多岐にわたります。

みなさんも、スマホで呼び出すだけで無人タクシーが迎えに来る未来を想像してみてください。そして、「もし自分が自動運転技術の開発者だったら、どんな機能を追加したいか」「自動運転社会では、どんな新しい仕事やサービスが必要になるのか」と考えてみましょう。未来の交通革命は、すでに始まっているのです。