地球温暖化が深刻化し、2023年の平均気温は観測史上最高を記録しました。温室効果ガスの主な要因とされる二酸化炭素の削減が求められる中、長野県の飯山高校の女子生徒3人が研究した「ミドリバイオリアクター(MBR)」が、台湾国際科学フェア(TISF)の生化学部門で1位を獲得しました。
光合成を活用し、二酸化炭素を吸収するこの技術は、環境問題への解決策になるかもしれません。
ミドリバイオリアクターとは?
光合成を活用した環境技術
「ミドリバイオリアクター(MBR)」は、直径4~5ミリの透明なボール状の装置で、内部には光合成を行うミドリムシや緑藻類が含まれています。これらの微生物が光を浴びることで、二酸化炭素を吸収し酸素を生成する仕組みです。
簡単に言うと「ミドリムシを閉じ込めたビーズが二酸化炭素を吸収する」仕組みです。
飯山高校の生徒たちは、この技術をより効率的に活用するため、光の照射角度や水中での分布を調整し、最大限の二酸化炭素吸収率を実現する方法を研究しました。特に、微生物の最適な密度や培養条件を工夫することで、環境負荷を最小限に抑えつつ、高い効果を発揮することを目指しました。
この革新的な技術は、温暖化対策としての可能性が評価され、台湾国際科学フェアの生化学部門で1位を獲得しました。
台湾国際科学フェアとは?
台湾国際科学フェア(TISF)は、高校生向けの国際的な科学コンテストで、毎年台湾・台北で開催されます。世界30か国以上から参加者が集まり、生化学や物理学など13の分野で研究成果を競います。
この大会では、研究の独創性や実用性に加え、英語でのプレゼンテーション能力も評価されます。飯山高校のチームは、環境問題をテーマに、視覚的に分かりやすい発表を行ったことで高評価を得ました。
高校化学グランドコンテストから世界へ
飯山高校の3人は、2024年に開催された「高校化学グランドコンテスト」で全国2位を獲得し、日本代表としてTISFへの出場権を得ました。このコンテストは「化学の甲子園」とも呼ばれ、高校生や高専生が自主研究の成果を競い合う場です。
主催する芝浦工業大学では、独創的な研究テーマや実験データの正確性が重視されます。彼女たちはこの経験を活かし、国際大会でも優れた成果を発揮しました。
高校化学グランドコンテスト紹介動画(2024)
実用化に向けた課題と未来への展望
実用化の課題
MBRは画期的な技術ですが、一方で実用化には以下の課題があります。
- 量産コスト:大量生産時のコスト削減が必要
- 耐久性:長期間安定して機能する素材の開発
- 社会実装:都市部や産業分野での導入方法の具体化
これらの課題の解決には数年から十数年かかると予想されます。
高校生たちは「ミドリバイオリアクター」の実用化についても研究を進めたいと考えています。
応用の可能性
MBRの技術は、地球温暖化対策だけでなく、都市の空気浄化や産業分野での活用も期待ができそうです。
例えば、高層ビルの窓ガラスに組み込むことで、大気の浄化と建築デザインの両立が可能です。また、自動車の排ガス浄化装置や工場の煙突フィルターに応用することで、大気汚染の軽減に貢献できます。
さらに、水中の二酸化炭素を吸収することで水質改善にも寄与し、湖や河川の環境保全に役立つ可能性があります。

まとめ
- 飯山高校の女子生徒3人が光合成を利用した「ミドリバイオリアクター(MBR)」を開発し、国際的に評価された
- 台湾国際科学フェア(TISF)生化学部門で1位、日本の高校化学グランドコンテストで全国2位を獲得
- MBRは微生物の光合成を利用し、二酸化炭素を吸収する技術
- 都市の空気浄化、工場排ガス処理、水質改善への応用が期待される
こうした研究に取り組む高校生がいるように、あなたも興味のあるトピックを深掘りしてみませんか?
自分の関心を追求し、学びを深めることで、大人にも負けない発見やアイデアを生み出せるかもしれません。小さな興味から未来を変える技術が生まれることもあります。さあ、自分だけのテーマを見つけて、挑戦してみましょう!