一滴の水もムダにしない…世界トップクラスの低い漏水率、福岡市を支えるAIシステム|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
福岡市は一滴の水もムダにしない―。福岡市の水道管などからの漏水率は、2022年度1・8%。市は世界トップクラスの低い漏水率を維持し、水を有効利用するために「節水型都市づくり」に取り組む。水源開発や節水...
福岡市では、水道管からの漏水(ろうすい)率を世界トップレベルの1.8%に抑えるための努力を続けています。
「漏水(ろうすい)」とは、水道管から水が少しずつ漏れ出てしまうことを指します。たとえば、古くなった水道管に小さなひびが入ると、そこから水が漏れることがあります。この漏れた水は使われることなく地面に吸い込まれたり流れてしまうため、とてももったいない状況です。
他の都市では漏水率が5%を超えることもある中、この数字は非常に優れた成果です。特に、福岡市は1級河川を持たないため、水資源を無駄にしないことが重要です。この取り組みの中には、AIや人工衛星などの最先端技術の活用も含まれています。
1978年の大渇水が教えてくれたこと
福岡市は1978年に287日間もの給水制限を経験しました。この大渇水は市民生活に大きな影響を与え、水資源の重要性を強く認識させるきっかけとなりました。その後、市は水道管の計画的な更新や、水圧を24時間調整する仕組みを導入し、効率的な水管理を進めています。
最新技術で挑む漏水対策
人工衛星を使った漏水調査
2024年5月、福岡市は人工衛星を活用した漏水調査を開始しました。この技術では、地表の湿った部分が反射するマイクロ波の特性を利用して、漏水リスクが高いエリアを特定します。JAXAの衛星“だいち2号”が50メートル以内のエリアを絞り込むことが可能で、調査の効率化に大きく貢献しています。
AIセンサーによる詳細調査
さらに同年10月には、AIセンサーを使った詳細な調査が導入されました。このセンサーは漏水の音を聞き分け、問題のある場所を特定します。これにより、修理を迅速に行い、多くの水を無駄にせずに済むようになりました。
従来の方法と新技術の融合
福岡市では、従来の調査方法と新しい技術を組み合わせることで、効果的な水管理を実現しています。例えば、AIセンサーが迅速に漏水箇所を発見し、修理が行われたケースでは、大量の水が節約されました。このような成功例は、市民生活の安定に直結しています。
他の都市への応用可能性
福岡市の取り組みは、水不足に悩む他都市でも参考にされる可能性があります。しかし、この技術を導入するには高額な初期費用や専門知識が必要です。そのため、技術的な支援や資金調達の工夫も重要になります。また、住民が水を大切に使う意識を高めることも欠かせません。
まとめ
- 福岡市は世界でも類を見ない低い漏水率を維持しています。
- 人工衛星とAIセンサーを使った革新的な方法が活用されています。
- 従来の方法と新技術を組み合わせることで、効率的な水管理が可能になっています。
福岡市の取り組みを参考に、私たちも水を無駄にしない生活を心がけてみませんか?たとえば、以下のような方法があります:
- シャワーや蛇口の水を出しっぱなしにしない
- 雨水を集めて庭の水やりに利用する
- 節水型の家電を使う
あなたの家ではどんな工夫ができそうですか?小さな一歩が未来を変えるかもしれません!