「GPT-5.2」登場 「Gemini 3」の“コードレッド”後、性能を大幅強化 - ITmedia AI+

OpenAIは、Googleの「Gemini 3」に対抗し、最新フロンティアモデル「GPT-5.2」を発表した。知的労働タスクのベンチマークで人間を超える割合が70.9%に向上。ChatGPTの有料プランユーザー向けにロールアウトを開始し、Microsoft 365 CopilotやPerplexityにも導入された。

生成AIは、仕事や学習の進め方を大きく変えつつあります。OpenAIが2025年12月11日に発表した「GPT-5.2」は、専門的な仕事や長時間動くAIエージェント向けに強化された最新モデルです。
資料作成や研究、プログラミングなど、これまで人が多くの時間を使ってきた作業を、どこまで効率化できるのでしょうか。

ChatGPTの最新モデルGPT-5.2とは何か

OpenAIは2025年12月11日、フロンティアモデル「GPT-5.2」を発表し、ChatGPTの有料プランおよびAPIで提供を開始しました。ChatGPTでは「GPT-5.2 Instant」「GPT-5.2 Thinking」「GPT-5.2 Pro」の3種類が用意され、検索のような軽い利用から専門的な分析まで、用途に応じて選べる設計です。

GPT-5.2は、前世代のGPT-5やGPT-5.1と比べて、長文コンテキスト処理、ツール呼び出し、画像理解などが強化されています。GPT-5.1はChatGPT上では一定期間の後に提供終了予定で、APIでは並行提供後に非推奨化される方針が示されています。

ベンチマークで見るGPT-5.2の進化

性能の客観的な指標として、OpenAIは44職種の実務タスクを評価する「GDPval」を公開しています。この指標でGPT-5.2は、人間の専門家と比べて勝利または引き分けとなる割合が70.9%でした。GPT-5世代の38.8%と比べると、専門業務での性能が大きく向上したことが分かります。

長文処理では、約25万トークン規模の入力に対して、文書内に埋め込まれた重要情報を正確に再現する評価で、ほぼ100%の正答率が示されています。画像理解でも、グラフやソフトウェア画面に対する誤答率を大きく減らし、視覚情報を使う業務での活用が想定されています。

エージェント性能が意味するもの

GPT-5.2の特徴として、複数のツールを使いながら長い作業を完了できる「エージェント性能」が挙げられます。カスタマーサポート領域の評価「Tau2-bench Telecom」では、ツール呼び出し成功率98.7%が公表されています。
これは、データ取得、集計、レポート作成といった一連の業務を、途中で止まらずに実行できる可能性を示しています。

利用シーン別に見るGPT-5.2

社会人:資料作成と業務自動化
社会人向けには、営業資料やマニュアル、レポート作成での活用が考えられます。
長文コンテキストを使えば、多数の社内資料や契約書をまとめて読み込ませ、要点整理やリスク抽出を一度に行えます。エージェント性能を生かし、社内システムのデータ取得からレポート作成までを自動化する使い方も示されています。

大学生:卒論・研究・プログラミング
大学生にとっては、卒業論文や研究プロジェクトでの支援が現実的です。複数の論文や調査資料をまとめて読み込ませ、先行研究の整理や比較を行うことができます。
プログラミングでは、コード生成やデバッグ性能の向上が報告され、研究用スクリプトや分析パイプライン設計の補助に使われています。

高校生・中学生:探究学習と図表理解
高校生や中学生では、探究学習やレポート作成での活用が想定されます。教科書や資料、記事を組み合わせて読み込ませ、要点を比較しながらまとめることが可能です。画像理解の強化により、グラフや実験結果の図を説明する用途も広がっています。
未成年向けコンテンツ保護を含む安全性対策も説明されています。

教師・教育関係者:教材作成と授業設計
教師や教育関係者では、授業用スライドやワークシート、評価用資料の作成支援に利用できます。学習指導要領や複数の教材をまとめて読み込み、要点整理や難易度調整を行う用途が想定されています。

研究者:文献調査と仮説整理
研究者にとっては、多数の論文や技術レポートを横断的に読み込み、研究動向の整理や論点の比較を行う支援が考えられます。長文コンテキストを活用することで、分野横断的なレビュー作業の効率化が期待されています。

ビジネス企画・マネジメント層:意思決定支援
企画担当者や管理職では、市場レポートや社内データを統合し、選択肢の整理や論点抽出を行う用途が示されています。複数ツールをまたぐエージェント機能により、分析から資料化までを一連で行う支援が想定されています。

テクノロジー初心者の大人:調べ学習と理解補助
テクノロジーに詳しくない大人でも、長い記事や資料を要約し、専門用語を補足説明付きで理解する用途があります。検索結果を読むだけでは分かりにくい内容を、構造化して整理する補助として利用できます。

GPT-5.2と主要生成AIの比較
モデル開発企業主な特徴得意な利用シーン
GPT-5.2OpenAIGDPval 70.9%、長文処理、画像理解、ツール呼び出し98.7%業務自動化、資料作成、研究・学習支援
Gemini 3Googleマルチモーダル、最大100万トークンGoogle製品と連携した検索や学習
Claude 3.7 SonnetAnthropicハイブリッド推論、安全性重視思考過程の説明、コーディング
PerplexityPerplexityリアルタイムのウェブ検索と出典(引用)を前提にした「答えを返す検索」調べもの、事実確認、出典つき要約

Googleの「Gemini 3」は、テキスト、画像、音声、動画、コードを統合するマルチモーダル設計と、最大100万トークン級のコンテキストを特徴としています。Google Workspaceや検索との連携が重視されている点も特徴です。

Anthropicの「Claude 3.7 Sonnet」は、即時応答と拡張思考を切り替えられるハイブリッド推論モデルです。安全性や思考過程の説明を重視し、長い推論やコーディングで高い性能を示しています。

これらと比べると、GPT-5.2はGDPvalやTau2-benchといった実務タスクの数値を前面に出し、仕事での安定した利用を重視している点が特徴です。

まとめ
  • GPT-5.2は、実務タスク評価GDPvalで70.9%を記録した生成AI
  • 長文コンテキストと画像理解により、契約書や論文、グラフ解析に対応
  • エージェント性能により、複数ツールを使う業務フローの自動化が想定
  • 他社モデルには別の強みがあり、用途に応じた使い分けが重要

生成AIは、GPT-5.2、Gemini 3、Claude 3.7など、それぞれ異なる特性を持つ形で進化しています。
社会人にとっては業務効率化、学生にとっては学習や研究の支援など、活用の場面は広がっています。事実に基づいた特徴を理解し、自分の目的に合った生成AIを選び、実際の作業で試してみることが、将来の学びや仕事につながる第一歩になるでしょう。