中国の宇宙飛行士、地球に帰還 宇宙ごみ衝突の疑いで当初予定から遅れ - CNN.co.jp
国営メディアによると、中国の宇宙飛行士3人が14日、予定より1週間以上遅れて地球に帰還した。宇宙船の窓が宇宙ごみの衝突で割れたとみられる事案を受けて、3人は宇宙での予定外の長期滞在を余儀なくされていた。
宇宙ごみ(スペースデブリ)は、人工衛星や宇宙船の安全に直接影響する重要な問題です。
2025年11月、中国の宇宙飛行士が帰還を予定していた宇宙船で“微細な亀裂”が見つかり、宇宙ごみとの衝突が原因の可能性と報じられました。この出来事は、宇宙ごみが宇宙ミッションの計画や私たちの日常生活にどう関わるのかを改めて考えるきっかけになっています。
宇宙ごみとは?どんな危険がある?
宇宙ごみ(スペースデブリ)は、役目を終えた人工衛星やロケット部品など、地球の周りを高速で回る人工物のことです。速度は秒速7〜8kmにも達し、わずか1mmの破片でも人工衛星に深刻な損傷を与える可能性があります。現在では1cm以上の宇宙ごみが100万個以上存在するとされ、問題は年々拡大しています。
事故例も多数あります。
2009年には民間通信衛星イリジウム33号と旧ソ連の衛星が衝突し、2,000個以上の新たな宇宙ごみが発生しました。1996年にはフランスの衛星CERISEが破片と衝突して機能を損傷しました。2024年にはISSから落下した部品が米国の民家に衝突した事例も報告されています。
中国の宇宙船「神舟20号」で起きたトラブル
2025年11月、中国の宇宙船「神舟20号」は、宇宙ステーション「天宮」で6か月の任務を終え、地球に帰還する予定でした。しかし帰還カプセルの小窓に“微細な亀裂”が見つかり、宇宙ごみの衝突による損傷と判断されました。このため乗組員3人は9日間の延泊を余儀なくされ、後続の宇宙船「神舟21号」で無事帰還しました。
このニュースは、宇宙ごみが宇宙飛行士の安全だけでなく、ミッション全体のスケジュールに大きな影響を与えることを示しています。

世界が進める宇宙ごみ対策
宇宙ごみが増えると、新しい衛星の打ち上げや宇宙探査が困難になります。アメリカやヨーロッパ、日本(JAXA)などでは、宇宙ごみの追跡技術や除去ミッションの開発が進んでいます。たとえば、ロボットアームで破片を回収する技術や、推進装置を使い安全に大気圏へ落とす仕組みの研究が行われています。
また、人工衛星を運用する企業や国が協力し、寿命を迎えた衛星を安全な軌道へ移動させるルール作りも進展しています。こうした取り組みは、今後の宇宙利用を持続可能にするために欠かせません。
まとめ
- 宇宙ごみは役目を終えた人工衛星やロケットの破片で、秒速7〜8kmで移動する危険な人工物
- 中国の宇宙船「神舟20号」では、宇宙ごみ衝突が原因とみられる損傷で帰還延期
- 世界各国は宇宙ごみの除去や追跡技術を開発し、国際協力も進めている
- 宇宙ごみ問題は、通信や観測など地球上の生活にも影響
宇宙ごみは、宇宙技術や私たちの暮らしに深く関わる現実的な問題です。今回の中国ミッションの例は、その影響が具体的に現れたケースといえます。人工衛星の働きはスマートフォン、天気予報、交通システムなど、身近な場面に広がっています。だからこそ宇宙ごみの増加は私たち自身にも影響を与える可能性があります。
家族や友人と「宇宙ごみを減らすためにどんな技術が必要か」「宇宙利用を続けるためにどんなルールが大切か」を話してみてください。未来の宇宙開発に参加する最初の一歩になるはずです。
