F1日本GPで見た、配信の最重要施設「ETC」に潜入。世界配信を支えるITテクノロジーを聞く | Business Insider Japan
26万人が来場したF1日本GP。レース運営をノンストップで支えるITインフラは、1つの巨大なシステムです。鈴鹿サーキットからの世界配信の司令塔ともいえる施設に潜入しました。
F1日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催され、多くのファンを魅了しました。
しかし、観客の目に映るのはレースの一部にすぎません。実はその裏側では、高度なIT技術が活躍し、レースの成功を支えているのです。特に「イベントテクノロジーセンター(ETC)」という施設が、F1全体のデータ管理と世界配信を担っています。
イベントテクノロジーセンター(ETC)とは?
ETCはF1におけるリアルタイムデータの集約・配信の中心地です。鈴鹿サーキットではパドックエリアに設置され、テレビ局の調整室のような雰囲気の中、多数のディスプレイが並び、静寂の中で緻密な作業が行われます。レースの3日前に設営され、決勝終了後すぐに次の開催地へ移動します。
集約される多様なデータ
- カメラ映像:オンボードや固定カメラ、空撮など100以上の映像
- 音声データ:サーキット内の150以上のマイクから収集
- 計測データ:ラップタイムやタイヤ情報など、精密な走行データ
- テレメトリーデータ:車両の状態をリアルタイムでモニタリング
これらの情報は、10Gbpsの高速回線でイギリスのMedia Technology Center(MTC)へ送信され、編集・加工されたのち世界中に配信されます。
世界を巡るF1のITインフラ
F1は年間24レースを世界中で開催し、そのたびにITインフラを構築します。有線と無線の通信網を組み合わせ、使用されるケーブルの長さは最大で70kmにも及びます。ETCの活用により、リアルタイムで情報が処理・配信され、ファンはどこにいても臨場感あふれる観戦体験を得られます。
レノボが支えるF1のテクノロジー
レノボはF1のグローバルテクノロジーパートナーとして、PCやサーバー、スマートフォンなどの数千台に及ぶデバイスを提供しています。特にテレメトリーデータの処理や、映像編集・配信におけるプラットフォームとして、その性能と信頼性が重宝されています。
最新テクノロジーの実験場としてのF1
F1ではETC以外にも様々な最新技術が使用されています。
AIと機械学習
- 車体設計や戦略立案にAIが活躍し、風の流れやタイヤの摩耗を予測
- リアルタイムでの予測分析により、事故や故障の回避にも貢献
クラウドコンピューティング
- データの即時共有と遠隔地からの分析を可能にし、戦略を柔軟に変更
3Dプリンティング
- 空力部品や機械パーツの迅速な試作と導入で、開発スピードを向上
サイバーセキュリティ
- チームの機密データを守るためのリアルタイム監視と防御体制
高性能コンピューティング(HPC)
- 高度なシミュレーションやレース戦略の最適化に利用
通信技術
- ドライバーとエンジニアの密なやり取りを支えるチーム無線とテレメトリ
これらの技術はF1を支えるだけでなく、他分野への応用も期待されています。

F1の技術はビジネスと社会を変える
F1のテクノロジーは、スポーツだけでなくビジネスの世界にも多くのヒントを与えています。AIやクラウド、リアルタイム配信の技術は、店舗運営やオンラインサービスの効率化にも役立ちます。
F1を支える技術は、私たちの生活をより快適に、よりスピーディに変える可能性を秘めています。
まとめ
- F1の裏側では最先端のIT技術が活用されている
- ETCは、F1全体の情報処理と世界配信の中枢施設である
- レノボはそのインフラを支える主要パートナー
- AIやクラウドなどの技術は、社会やビジネスにも広く応用可能
F1の舞台裏で活躍する技術は、私たちの日常にも活かせるヒントが詰まっています。リアルタイムなデータ分析や、情報を迅速に届ける仕組みは、社会のあらゆる分野で重要です。あなたなら、こうした技術をどのように使いますか?少しだけF1の世界に目を向けて、自分なりの答えを探してみましょう。