衛星を「地球の大気で燃やし尽くす」行為が、地球環境を破壊する可能性--スターリンクで激増 - CNET Japan
NASAが資金提供した新しい研究によると、「スターリンク」のような通信衛星が寿命を迎えて大気圏に再突入する際に、地球のオゾン層を減少させる可能性がある。同研究はGeophysical Research Lettersに掲載された。
スペースXが運用する「スターリンク衛星」が地球に再突入するとき、空のインターネット革命の裏側で予想外の問題が浮かび上がっています。
それは、地球のオゾン層に与える悪影響です。2025年1月だけで、120基の衛星が再突入し、アルミニウム酸化物という物質を放出したと報告されています。
今後、さらに4万2000基もの衛星が打ち上げられる予定であり、この影響は無視できません。
このアルミニウム酸化物は、どのように地球環境へ影響を及ぼすのでしょうか。そして、技術的にどのような工夫でその影響を抑えられるのでしょうか?
再突入する衛星とオゾン層破壊のリスク
スターリンク衛星は、地球全体に高速インターネットを提供する目的で、低軌道に多数展開されています。寿命は約5年で、その後は大気圏に再突入し燃え尽きます。このとき、衛星の構造に含まれるアルミニウムが燃焼し、「アルミニウム酸化物」として拡散します。
- アルミニウム酸化物は、オゾンを分解しやすくする化学反応を引き起こします。
- この物質は大気中に長く残り、持続的な影響を及ぼす恐れがあります。
オゾン層が失われるとどうなる?
オゾン層は地球を守るバリアのような存在です。もしこの層が破壊されると、次のような影響が生じます。
- 紫外線の増加により、皮膚がんや白内障のリスクが高まる
- 農作物や水中生物の成長に悪影響が出る
- 建材やプラスチックの劣化が早まり、経済的損失につながる
衛星技術で環境問題を解決できるか?
スペースXは、年間最大8000基の衛星を再突入させる可能性があります。AmazonやOneWebなども類似の衛星ネットワークを構築しようとしており、環境負荷を抑えるための工夫が求められます。
- 有害な物質を出さない衛星素材の開発
- 再突入せずに回収可能な軌道への設計変更
- 国際的な環境ルールの制定と共有

世界で進む取り組み
2024年、NASAは独自の衛星通信計画を発表し、環境への影響が少ない素材の研究を進めています。今後は「通信の未来」と「地球の未来」を両立させる時代が求められています。
まとめ
- スターリンク衛星は再突入時にアルミニウム酸化物を放出する
- この物質はオゾン層の破壊を引き起こす可能性がある
- 紫外線の増加は健康・環境・経済に多方面の影響を与える
- 技術革新による素材改良や設計の見直しが進められている
- 国際的なルールや各国の取り組みも今後の鍵となる
インターネットの未来をつくる衛星技術が、地球の環境を損ねてしまっては本末転倒です。
これからの技術者には、「便利さ」と「環境への責任」を同時に考える力が求められます。たとえば、再突入時に無害なガスのみを放出する衛星や、宇宙ごみを自動で回収するロボットなど、新たな技術開発に挑戦する余地は広がっています。
あなたなら、どんなアイデアで地球と宇宙の未来を守りますか?