脈を打たない「チタン製の心臓」を移植した男性、生存100日超 | ギズモード・ジャパン
昨年、人工心臓の移植手術を受けた男性が、無事退院したことが明らかになりました。人工心臓移植手術において、退院というプロセスまで進んだのは今回が世界初。機械の心臓手術を行なったのは、オーストラリアはシドニーにあるセント・ヴィンセント病院の医師チーム。心臓移植手術は昨年11月でした。複数の心臓疾患を持つ男性患者に「BiVACOR Total Artificial Heart」というチタン製の人工心臓
「人工心臓」という言葉を聞いたことがありますか?最近、オーストラリアで医療技術の歴史を塗り替える画期的な出来事がありました。人工心臓を移植された患者が100日以上生存し、退院まで果たしたのです。この偉業は、人工心臓技術の飛躍的な進化を示し、未来の医療に大きな希望を与えています。
BiVACOR:次世代の人工心臓とは?
オーストラリアの40代の男性に移植されたのは、「BiVACOR(バイバコア)」という最新の人工心臓です。従来の人工心臓とは異なり、左右の心室を1つのユニットに統合した設計を採用。これにより、心臓の自然な機能を再現しながら、高い耐久性と小型化を実現しました。
人工心臓の仕組み
人工心臓は、血液ポンプ、制御装置、バッテリー、血液を送る管で構成されます。BiVACORは次の2種類のポンプ技術のうち、より効率的な連続流ポンプを採用しています。
- 拍動流ポンプ:生体の心臓のように脈を打ちながら血液を送る方式
- 連続流ポンプ:一定の速度で血液を流し続ける方式(BiVACORの採用技術)
この連続流ポンプにより、従来の人工心臓よりも小型化が可能となり、埋め込み手術の負担も軽減されています。
また、外部バッテリーで作動し、ワイヤレス充電技術の開発も進められているため、患者の生活の自由度が向上することが期待されています。
人工心臓の課題と今後の改良点
人工心臓技術は大きく進歩していますが、まだ克服すべき課題もあります。
1. 血液との相性
- 血栓リスク:血液の流れが自然の心臓と異なるため、血栓ができやすい
- 赤血球の損傷:ポンプの回転が速すぎると、赤血球が破壊される可能性がある
2. 装置の耐久性と感染リスク
- 電源供給の課題:バッテリー駆動のため、長時間の動作には制約がある
- 感染リスク:体外の装置と接続する部分から細菌が侵入する恐れがある
これらの課題を解決するために、現在次のような技術開発が進められています。
- ワイヤレス充電技術:体外から電力を供給し、ケーブルを不要にする
- 自己修復素材:人工心臓の耐久性を向上させる新しい素材の開発
- 磁気浮上技術:ポンプ内部の摩擦を減らし、血栓リスクを軽減する

人工心臓の普及がもたらす未来
人工心臓の普及は、医療分野だけでなく社会全体にも大きな影響を及ぼすと考えられています。
人工心臓が普及するとどうなる?
- 移植待機時間の短縮:臓器提供者を待たずに治療が可能に
- スポーツ分野での活用:人工心臓を装着したアスリートが競技に参加できる未来
- 医療コストの削減:耐久性の高い人工心臓の開発により、コストが抑えられる可能性
人工心臓が一般的になれば、寿命が延びるだけでなく、生活の質も大きく向上するでしょう。しかし、技術革新だけでなく、医療費や倫理的な問題についても議論が必要です。
まとめ
- BiVACORの人工心臓により、100日以上の生存記録が達成された
- 人工心臓は血液ポンプと外部バッテリーで動作し、小型化が進んでいる
- まだ血栓リスクや電源供給の課題が残るが、改良技術が開発中
- ワイヤレス充電や自己修復素材などの最先端技術が期待される
- 将来的には、スポーツや医療費削減にも貢献する可能性がある
人工心臓が普及すると、私たちの生活はどのように変わるでしょうか?
例えば、人工心臓を持ったアスリートがオリンピックに出場する日は来るのでしょうか?また、高価な医療機器を誰もが手軽に利用できる未来を実現するにはどうすればよいのでしょうか?ぜひ、友達や家族と未来の医療技術について話し合ってみてください。