買い物のたびに、長いレジ待ちで時間を無駄にしていると感じたことはありませんか?
例えば、混雑したスーパーでレジに並びながら、もっと効率的に買い物できたらと思ったことがあるかもしれません。東芝テックとRetail AIが共同開発した「Skip Cart®」は、AIとセルフレジ技術を組み合わせたスマートカートです。商品をスキャンしながら買い物でき、レジ待ちの時間をなくすことができます。2025年1月31日より全国での販売が開始され、注目を集めています。

今回は「Skip Cart®」の技術的な仕組みと、海外の類似技術との違いについて見てみましょう。

「Skip Cart®」の技術的な仕組み

1. セルフレジ機能
カートにバーコードスキャナーとタブレット端末が搭載されており、商品をスキャンすることで即座にカート内に記録されます。会計時は専用機にカートを通すだけで決済が完了します。

2. AIによるレコメンド機能
AIがこれまでの買い物履歴やカートに入っている商品を分析し、リアルタイムでおすすめの商品や割引クーポンを表示します。このAIは、大量のデータを学習し、買い物の傾向を理解して、より的確なおすすめをする仕組みになっています。これにより、パーソナライズされた買い物体験が可能になります。

3. スキャン漏れ防止センサー
商品のスキャン漏れを防止する自動検知アラーム装置が搭載されており、会計ミスや不正利用を減らします。

4. クラウド連携
東芝テックの「ELERA®」プラットフォームと接続し、店舗システムとデータ連携することで、スムーズな運用が可能です。

海外の類似技術との違い

「Skip Cart®」は日本国内向けに設計されていますが、海外にも類似技術が存在します。

Amazon Go(アメリカ)
Amazon Goは、AIとカメラを活用し、顧客が棚から取った商品を自動認識する仕組みです。完全無人店舗として運営されていますが、「Skip Cart®」は既存の店舗にも導入できる柔軟性があります。

無人コンビニ(中国)
中国では顔認証やICタグを活用した無人コンビニが増えています。例えば、Alibabaの「淘咖啡(Tao Cafe)」や「盒馬鮮生(Hema Fresh)」、JD.comの「無人スーパー」が代表的な事例です。しかし、導入コストが高く、技術インフラが整っていないと運用が難しいのが課題です。

Scan & Go(ヨーロッパ)
イギリスではスマホアプリを利用してバーコードをスキャンする「Scan & Go」が広まっています。ただし、アプリを利用する手間があり、「Skip Cart®」のような専用端末によるスムーズな操作性には及びません。

「Skip Cart®」の導入コストとメリット

導入には以下の設備が必要です。

  • スマートカート本体(スキャナー・タブレット搭載)
  • クラウド環境(「ELERA®」との連携)
  • 専用会計機(カート内データとの連携決済)
  • Wi-Fiなどのネットワーク環境

最初に導入するには1台あたり数十万円かかりますが、お店の大きさによっては、1~3年でその費用を取り戻せると考えられています。人件費の削減や販売促進効果が期待できるため、長期的な運用ではコストパフォーマンスが高いと考えられています。
また、レジ業務が不要になることで、従業員が接客や商品補充に専念できるというメリットもあります。

まとめ
  • 「Skip Cart®」はAIとセルフレジを組み合わせたスマートカート
  • レジ待ちをなくし、AIのレコメンド機能でパーソナライズされた買い物体験を提供
  • 海外の類似技術と比較して、既存店舗にも導入しやすい
  • 初期コストはかかるが、人件費削減や効率化のメリットが大きい

最新技術を知ることは、未来を考える第一歩です。「Skip Cart®」のようなシステムから学び、自分なりのアイデアを考えてみるのはよいでしょう。

さらに、スマートカート技術に興味がある人は、Amazonの「Dash Cart」やWalmartの「Scan & Go」アプリを試してみるのも面白いかもしれません。これらのシステムは、異なる技術を活用しながら、よりスムーズな買い物体験を提供しています。