これからの食卓に昆虫が登場する日が来るかもしれない、と言われてはいますが…。
昆虫食は、環境問題や食糧危機の解決策として注目されています。特にコオロギは、高タンパクで環境負荷が低いことから、"未来のスーパーフード"と呼ばれています。
しかし、その普及には課題もあります。コオロギを育てる環境を整えたり、機械を使って養殖を効率化したりする必要があります。また、市場の受け入れや食品安全基準の確立も重要なポイントです。
日本のスタートアップ "BugMo" の挑戦と失敗を通して、昆虫食の可能性と技術的な課題、世界的なトレンドを見てみましょう。
コオロギ養殖の技術と持続可能性
1. 昆虫食が注目される理由
世界の人口が増え、食糧不足や地球温暖化が問題になっています。その解決策の一つとして、昆虫食が注目されています。特にコオロギには、次のようなメリットがあります。
- 高タンパク・低カロリー:牛肉と同じくらいのタンパク質を含み、栄養価が高い。
- 環境に優しい:牛や豚に比べて必要な水や土地が少なく、温室効果ガスの排出量も少ない。
- 短期間で育つ:養殖サイクルが短く、たくさん生産できる。
このような特性から、昆虫食は持続可能な食料の選択肢として期待されています。
2. BugMoの挑戦と課題
京都のスタートアップ "BugMo" は2017年に設立され、コオロギ養殖の技術開発と商品化を進めてきました。しかし、2025年1月29日、資金繰りが悪化し、京都地裁で破産が決定しました。
主な課題
- 技術の難しさ:コオロギを安定して育てる環境を作るのが難しかった。
- 消費者の抵抗:多くの人が昆虫を食べることに抵抗があった。
- 資金調達の難しさ:投資家からの理解を得にくく、資金不足に陥った。
また、日本のGryllus社は、学校給食にコオロギパウダーを導入しようとしましたが、保護者の反発や政府の助成金不承認により計画が中止されました。2023年には約3.8億円の損失を出し、2024年11月には負債総額約1.5億円で破産申請を行いました。
世界の昆虫食の広がり
昆虫食は世界でも注目されています。
- アフリカ・アジア・南米:昔から昆虫食が文化として根付いており、特にタイでは1998年からコオロギ養殖が始まり、現在では約28,000か所の養殖施設があります。
- 欧米市場:昆虫を使ったプロテインバーやスナックなどが販売され、市場が拡大しています。
- 市場規模の成長:2020年12月の報告によると、2025年には世界の昆虫食市場は約1,000億円に達すると予測されています。
また、技術開発が進むオランダやアメリカでは、3Dフードプリンターを使った昆虫食品の開発が進められています。
例えば、オランダの "byFlow" は、昆虫由来のタンパク質を使った3Dプリント食品を開発し、持続可能な食料供給を目指しています。アメリカの "Novameat" も、昆虫タンパク質と植物成分を組み合わせた代替肉を3Dプリンターで製造する技術を開発しています。

昆虫食が広まるための課題と解決策
1. 技術の発展
昆虫食が広まるためには、養殖技術や食品加工技術の進化が必要です。
- AI・IoTを活用した養殖管理
- 培養肉と組み合わせた新しい食品開発
- 味や食感の改良
2. 消費者の意識改革
昆虫食に抵抗を持つ人が多いため、消費者へのアプローチが重要です。
- 見た目を工夫した加工食品の開発
- 学校などでの食育活動
- 有名人やインフルエンサーを活用したPR
3. 法規制の整備
食品の安全基準や輸出入のルールが整えば、昆虫食の流通はもっと広がるでしょう。欧州連合(EU)は2021年にコオロギを食品として認可しました。国連のFAO(食糧農業機関)も、昆虫食の安全基準や生産のルール作りを進めています。
まとめ
- 昆虫食は地球環境や食糧問題を解決する可能性がある。
- 技術の進化だけでなく、消費者の意識改革も必要。
- AIやIoTを活用した養殖技術の発展が鍵を握る。
- 昆虫食の普及には、マーケティングや法規制の整備も重要。
今後、昆虫食を広めるためには、さらなる技術革新や政策の整備が必要です。AIによる養殖の最適化やロボット技術の導入が進めば、効率的な生産が可能になります。また、政府や国際機関によるルール作りや補助金制度が整えば、さらに市場が拡大するでしょう。
昆虫食が私たちの未来の食文化として定着する日は来るのでしょうか?あなたもこの新しい食の形について考えてみませんか?